新型コロナウイルス対策の中、東京2020オリンピック「延期、中止、無観客開催、予定通り開催」どれが妥当なのか?

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東京オリンピック、開催、延期、中止、各ケース

連日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が各国に拡がり、止まらないとする報道が続いている。感染者は世界で16万人を超え、韓国、イラン、特にイタリアが急増し重篤・死者も増加傾向にある。さらに感染は欧州全体へと広がり、スペイン、フランス、ドイツが感染拡大国として名を連ねるようになっている。WHOも欧州での感染拡大が確認された時点で、今回の新型コロナウイルスが「パンデミック」の段階に入ったとする発表へ踏み切った。

中国は総感染者数は8万人に上るが回復傾向の患者が50%を上回り、直近の増加に至っては100人以下へ鈍化している。ただし、自らの「一体一路」戦略のパイプライン上にあるイラン・イタリアからの入国による再びの感染拡大に神経を尖らせており、油断できない検査体制と封鎖の継続を強いられている。

中国の感染者増加の鈍化は、今後の事態終息への見通しを立てる重要点と言えるだけに、各国ともが注目している。

日本も2月26日より「この1~2週間が感染拡大防止に極めて重要」として大規模イベントの自粛要請、春休みまでの小中高一斉休校と手を打ったが、状況の好転が見られない事から大規模イベントなどの自粛を19日頃まで10日間程度の継続を行った。さらに中国と韓国からの渡航制限強化に踏み切り、3月中の封じ込めに奔走する中、総理大臣による「緊急事態宣言」が可能となる新型コロナウイルス対策の特別措置法が13日国会で成立し14日施行された。緊急事態宣言は新型コロナウイルス対策を理由に、国民の権利をも制限する事が可能となる。

前述のような事態の中、東京オリンピックの開催判断として「延期、中止、無観客開催、予定通り開催」のどれが妥当なのか各ケースで考えてみる。

新型コロナウイルス影響の長期化、実体経済の悪化により経済対策が急務に

対応が長期化しそうな新型コロナウイルスの影響で、中国を皮切りに世界的な実体経済の悪化、株価急落が相次いでいる。外出自粛など人とモノが動く経済活動の縮小により生産と消費活動が滞り始めている。各国政府や中央銀行は金融緩和や損失補償策、給与減税などの経済措置の検討を発表しているが、新型コロナウイルスの影響がいつまで続くのか、不透明感から効果には懐疑的な見方が強い。

直近数カ月での資金繰りが限界とする中小企業も多く、資金繰りに対する相談件数が急増している。タイムリミットは目前で、今の状態が2カ月も続けば連鎖倒産のリスクがより顕在化してくることになる。

つまり、金融緩和や補償はあくまでも延命措置で、実体経済を好転させる為には自粛状況にある緊縮経済をもとの経済活動域へ戻す必要がある。しかし、感染の拡大傾向と長期化する対応に自粛勧告を緩めるわけにもいかない。今後は、この辺りにのジレンマの解消が求められることになる。東京オリンピックの開催判断もその一つになる事は間違いない。

東京オリンピックの延期開催とする場合

もともとは非常に低い選択肢だったのだが、感染の拡大とわずか数週間で実体経済へのダメージが表面化した事から延期も視野に入るようになってしまった。

従来なら数カ月の延期、1年延期どの延期の方法でもスケジュールの再調整は問題山積みで難しく、受け入れ側だけの問題ではなく、競技日当日に技術も肉体も精神もピークを持っていくべく調整する各国選手ならびにサポーターに大きな負担を強いる事からあまり議論されないはずだった。

しかし、新型コロナの長期化、経済対策と国際情勢への影響と悪影響の回避から、延期による追加費用と再調整の手間を考慮しても、延期のうえ万全に観光客を迎えてのオリンピック実施が最善策とする結論に追い込まれつつある。ワクチンの開発への期待も考えれば1年の延期が最初のスコープになる。2年は長く代表候補の選抜にも大きく影響するだろうし、冬季オリンピックと同年開催になってしまう。次に控えるオリンピック開催都市群への影響も大きくなる。

代表選手たちも不安はありつつ状況を織り込み始めているため、当初より混乱は起きない空気が固まりつつある。自分たちが一番大変な中、動画配信などでファンや国民を勇気づけたりと奮闘する頑張りに選手第一であって欲しいと思う。五輪代表枠の拡張とかできないだろうか。

また、もともと今回の東京オリンピックを東日本大震災からの復興五輪と位置付けていた手前、新型コロナウイルスへ勝利し世界経済が復興する意味も加われば、延期してでも万全な開催を目指す盛り上げとして後押しをする気がする。

政治的には、安倍総理の今のところの任期も再度の総裁任期延長がなければ、自民党総裁任期である2021年9月までなので、開催1年の延期であればぎりぎり間に合う事になる。

東京オリンピックを中止とする場合

中止は、経済的にも各国関係における協調路線を維持する上でも、選びにくい状況になりつつある。中止した場合のメリットが何もなく、デメリットばかりが目立つ。誰が何処をとは言わないが禍根も大分残る結果になるだろう。

中止するシナリオを考えた場合、先に延期が判断されたうえで新型コロナウイルスの影響が複数年に渡り継続、おそらく次の冬季オリンピックの開催すら危ぶまれる状況になると思われる。そこまで事態が悪化していたら中止とか延期とか以前の問題だろう。今、中止を推す理由は何もなく、中止にしたからといって何も無かった事になどならず、さらに経済対策の大きな機会を失うだけである。政府主導の経済対策、こればっかりはいつの時代も民間主導ではどうにもならないという現実がある。

東京オリンピックを無観客開催とする場合

こちらも中止と同様にメリットが少ない。経済効果は期待できない上、楽しめる空気は乏しい。選手団同士の交流や接触は避けられ、そしてどれほど注意したところで誰か一人の感染の疑いが確認されれば、ほぼ中止になるだろう。そこには選手第一としつつ選手第一など何もない。現に今のスポーツ界が無観客試合と、審判の発熱ひとつでの試合中止を繰り返している。

東京オリンピックを予定通り開催する場合

既に、予定通り訪日外国人を受け入れ、観客を入れての開催は難しいと考えている人が大多数だろう。残念だが私も、開催シナリオをどうシミュレーションしても難しいという結論に至っている。

予定通り開催とした場合、開催国である日本だけが新型コロナウイルスの影響から脱していても意味がない。国際大会である以上、各国選手団ならびに訪日外国人の母国も影響から脱している必要がある。

WHOが緊急事態宣言の終息宣言をするのは概ね、潜伏期間の2倍の期間の新規感染者が確認されない事とされている。今回の新型コロナウイルスは1日~12.5日の潜伏期間とされ、少なくともほぼ1カ月の新規感染者が確認されない事が必要になる。

今回の新型コロナウイルスの影響の広がり方が、自覚症状のない潜伏期間中の感染力の高さから、アウトブレイクの発生時期がずれやすく、発生すると封じ込めが長期化しやすい傾向にある。国境を越えて徐々に拡大し、終息した国で再発生する懸念もその分長期化するため油断できない状態が続く。

予定通り開催可能と判断する限界が5月中頃としても残り2カ月、今日3月17日時点で1日1万人以上の新規感染者の確認がされている現状、4月の早い段階で今感染している人の症状回復および新規感染者ゼロの初日を迎えられる可能性は低いのではないだろうか。

もし、一定の鎮静化に成功し開催に踏み切ったとして、どれほどの選手が訪れ、どれほどの観光客が訪れるのか。さらには、再びの感染拡大となり、世界中の努力をふいにする危険性を考えると背筋が凍りつく。

[参考]
新型コロナウイルス感染症の対応について|内閣官房新型インフルエンザ等対策室
新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルス感染 世界マップ:日本経済新聞

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