賛否もある、レバレッジ取引最大4倍とする自主規制、仮想通貨交換業各社の対応

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2月26日、国内仮想通貨交換業大手のビットフライヤーが、レバレッジ取引の最大倍率を4月22日より、現在の最大15倍から4倍への自主規制範囲へ引き下げる発表をした。レバレッジ取引倍率の自主規制への対応は、DMMビットコインとビットポイントの2社が先行して4倍への変更をしている。

金融庁による自主規制を目的とした認定団体、一般社団法人日本仮想通貨交換業(JVCEA)の規則・ガイドラインの定める、国内の仮想通貨交換業におけるレバレッジは4倍を上限としており、これに従った変更となっている。

レバレッジ倍率の規制は賛否が分かれ会員に溝を生む事態も?

そもそも仮想通貨のレバレッジ取引の倍率規制および自主規制に関する議論は賛否が分かれる状態になっている。現在の法規制におけるレバレッジ取引の上限は25倍、この25倍も投資家の反発から昨年5月に見送られはしたが、金融庁による10倍への引き下げ案もある。その中で認定団体となった一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)による4倍の自主規制についても同団体内で合意がされているとは言えず、JVCEAの定める自主規制ガイドラインに未だ従う気配のない交換業者も多く見られる。

レバレッジ倍率が低ければリスクも低いという認識に対するズレ

ひとくちに投資といっても様々な投資スタイルがある。短期と長期、現物と信用、個人の資産運用から専業トレーダーまで多岐にわたる。レバレッジ倍率に対するリスクの捉え方も様々だ。

値動きを一日中追っているような専業や、損切り判断やロスカットルールの理解に長けた人からするとレバレッジ倍率が低いのは儲けの伸びが悪く、反面ロスカットに直面するリスクはさほど変わらないといった逆リスクの状態に陥る危険性もある。儲けの伸びが悪ければ危険な値動きの時も市場に参加しなければいけなくなる。

だが、兼業トレーダーはマーケットを監視できず、一般投資家の人たちは損切やロスカットに不慣れで対応が下手だ。下げ相場に弱くレバレッジの高さが負けに直結しやすい傾向がある。仮想通貨(暗号資産)のような新興のマーケットでは価格操作も横行しやすくファンダメンタルも不透明なためプロがより素人を食い物にする傾向が強くなる。レバレッジが低いことで逆に損切判断の初動が重くなりやすく、下落に耐えてしまった結果、損失を膨らませてしまうという指摘も多い。実際に、株式の信用取引で信用倍率3倍の中、相場の下落局面で追証に耐え続けてしまい損失を拡大させる個人投資家は後を絶たない。

このプロと素人のギャップの構図は株式市場でも近年通過したばかりで、未だ根強い不満がくすぶっている。国内株式市場でも2010年まではレバレッジ100~400倍というのが存在していたが、2010年に50倍に2011年には25倍に規制されたばかりだ。背景に2000年以降一般消費者の投資参加を推し進めた結果、初心者が高いレバレッジ取引に手を出したり、証券会社の営業マンにのせられた個人投資家の被害トラブルが急増したためだ。

こうなると政府としては個人投資家を利用者保護の名目でレバレッジ倍率の上限を規制せざるを得なくなる。ここ最近、仮想通貨で起きているレバレッジを抑える動きも全く同じものと言える。

余談だが、仮想通貨交換業者や証券会社などの企業側からしても、レバレッジが低いことで差益が出しにくく、手数料無料などの価格競争による収益構造の圧迫は死活問題になってくる。かといって手数料を取ればユーザーは離れていく。そもそも手数料を無料にできる背景に高い取引高による差益があるのだから頭が痛い話だ。大手ネット証券などの金融取引業者が相次いで仮想通貨交換業に興味を示したのも手数料収入が頭打ちとなり新たな収益構造を模索した結果に他ならない。

素人投機が過熱する危うさと投資による経済成長とのジレンマ

日本人は世界的にも個人投資家の投資熱が意外に高いという報告がある。事実、海外取引が規制されているにもかかわらず、未だに日本円での仮想通貨売買はドルに次ぐ取引高を示している。BTCなど各ペア取引の大部分は、法定通貨からステーブルコインとのペアへと移行しつつあるにしても、流入元である法定通貨で2番目に位置し続けているのは、海外取引所での日本人率が高い裏付けとも取れる。

この投資熱の高さからトラブルに遭遇する危うさも高いのだが、投資循環は経済成長には無くてはならない要素を占めることも事実だ。実際、レバレッジ規制などにより国内への魅力を失い投資資産が海外へ逃げる状況も起きている。利用者保護がその利用者の住む国の経済成長を抑制してしまったら本末転倒になってしまう。しかし、利用者保護をしないわけにはいかない。

当面レバレッジ取引の自主規制は必要だが…

他にもあるが、レバレッジ取引の規制に対して賛否が分かれる主な背景を述べてみた。現行の法律で25倍が上限である以上、仮想通貨交換業者が4倍を超えるレバレッジ取引の倍率を提供し続けることに法的取り締まりを行うことはできない。25倍上限も10倍引き下げ論もありつつ25倍を維持する可能性が高い。となると仮想通貨を取り巻く法整備がされ、市場が成熟して不透明感が晴れるまで、レバレッジ取引の倍率規制は自主規制によってのみ行うことになる。

しかし、ここに問題が潜んでいる。JVCEAに加盟し自主規制団体を構成する仮想通貨交換業者各社の足並みの悪さだ。自主規制の対象はレバレッジだけの話ではないが、4倍を設定した時に4倍は低いとした反対派を無視する強硬採択で4倍を設定したなどの内部分裂を危惧する噂が絶えない。自主規制に従わない業者が出るなど、自主規制が形骸化すれば、業界健全化どころか話が進まず業界の停滞感がより深刻化するかもしれない。認定団体としても団体への加盟の義務はないうえ、会員を処罰できるその効力に疑問が出てくる。

日本の仮想通貨業界が2019年どう進むかを予測するうえで、JVCEAを構成する仮想通貨交換業各社の足並みには注視が必要に思う。最悪、政府による過度な規制論争を招きかねない事態になる。金融庁はFATFによる審査対策や国際金融規制への取り組みに躍起になっており、2019年はG20大阪議長国としても日本の存在感を示す必要がある。

制度的保護とリテラシー成熟による自主規制の緩和を目指す

自主規制が上手く機能して、法整備が進み、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)と利用者保護の充分な成熟が観測されれば、おのずと自主規制のハードルも緩和される。レバレッジも4倍上限という形でなく、より細分化した規制の枠組みになり、25倍での仮想通貨取引も問題なくなるはずである。仮想通貨交換業者が業界健全化として目指す位置はそこになる。

国内の仮想通貨交換業各社のレバレッジ取引の状況

最後に、自主規制団体である仮想通貨交換業協会に第一種会員として加盟し、レバレッジ取引を提供する各社の自主規制対応と倍率の状況をまとめた。
[※参考]:レバレッジ取引ができる国内の仮想通貨取引所

■Liquid by Quoine(リキッドバイコイン)
FX(証拠金取引)
・ビットコイン(最大25倍)
・イーサリアム(最大25倍)
・リップル(最大25倍)

■bitFlyer(ビットフライヤー)
FX(証拠金取引)
・ビットコイン(最大15倍)
先物取引
・ビットコイン(最大15倍)
 ⇒ 2019/4/22 4倍へ自主規制変更(予定)

■GMOコイン
FX(証拠金取引)
[レバレッジ取引]
・ビットコイン(最大10倍)
[仮想通貨FX]
・ビットコイン(最大10倍)
・イーサリアム(最大5倍)
・ビットコインキャッシュ(最大5倍)
・ライトコイン(最大5倍)
・リップル(最大5倍)

■BITPoint(ビットポイント)
FX(証拠金取引)
[レバレッジ取引]
・ビットコイン(最大4倍)
[MT4取引]
・ビットコイン(最大4倍)
 ⇒ 2019/2/11 4倍へ自主規制変更

■DMM Bitcoin(DMMビットコイン)
FX(証拠金取引)
※固定4倍
・ビットコイン(BTC)
・イーサリアム(ETH)
・ネム(XEM)
・リップル(XRP)
・ライトコイン(LTC)
・イーサリアムクラシック(ETC)
・ビットコインキャッシュ(BCH)
 ⇒ 2018/12/26 4倍へ自主規制変更

■coincheck(コインチェック)
信用取引
・ビットコイン(最大5倍)
・イーサリアム(最大5倍)
・イーサリアムクラシック(最大5倍)

■Zaif(ザイフ)※FISCO(フィスコ)
FX(証拠金取引)
[AirFX]
・ビットコイン(最大25倍)
信用取引
・ビットコイン(最大7.77倍)
・モナコイン(最大7.77倍)

[参考]
一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)

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