気分は怪盗ルパン?単独犯からカップル、組織まで多種多様に行われる「不正引き出し」の現在

「不正引き出し」
銀行口座などを不正に操作し、または他人の情報を盗むなどして不正に使用して、預金を引き出すことを指す語。窃盗罪に当たる。
<weblio辞書より>

今に始まったことではないが、ここ最近のニュースを見ると「不正引き出し」の手法が実に多種多様になってきている。さらに手法のみならずターゲットとなるお金の形や犯人の数、犯人の素性なども多種多様なのだ。

仮想通貨モナコイン1500万円不正引き出し

仮想通貨保管サービスを提供する「Monappy(モナッピー)」から仮想通貨モナコイン約1500万円相当を不正に引き出した事件の犯人が、3月14日に検挙された。流出した仮想通貨関連の事件で警察が犯人を摘発できたのはこれが初めて。犯人はハッキングのプロでも集団でもなく、栃木県宇都宮市に住む18歳のひとりの少年であった。

高度なハッキング技術を駆使してモナコインを不正に引き出したのかと思いきや、その犯行の手口はボタン連打による送金システム誤動作の誘発という実に強引な力技によるものであった。1人で4日間8254連打し、そのうち642回の送金に成功しモナコイン1500万円分を手にした。

少年は「裏技を見つけたような気持ちになり、モナコインを全部取ろうと思った」と語っているとおり、まさにゲーム感覚で不正引き出しを楽しんでいたようだ。ボタンを連打してモナコインが次々と面白いように手に入るわけであるから、これほど愉快なゲームはなかったであろう。宝箱が隠された部屋に侵入し、置いてある宝箱をすべて開けていくような気分であったに違いない。おそらく罪の意識は薄かったのではなかろうか。

コンビニATM18億円不正引き出し

インターネットを介した仮想通貨の不正引き出しというのは、まさに今の時代ならではの新たな犯罪行為であるが、不正引き出しの典型と言えば銀行口座からの不正引き出しである。中でも印象的なのは、2016年6月に起きた「コンビニATM18億円不正引き出し事件」である。

全国17都道府県のATMでわずか2~3時間のうちに現金18億円が引き出された。ATMの引き出し上限額は1回10万円のため、単純計算で1万8000回もの引き出しが行われたことになる。犯行に使用されたATMは1700台、使われた偽造キャッシュカードは1600枚、犯行には暴力団が関係しており既に170人以上が逮捕されている。計画的な準備と組織ならではの人海戦術の為せる業と言えるだろう。

他人のカードで2400万円不正決済

そしてもうひとつ、モナコイン不正引き出しの犯人検挙と時を同じくして3月14日、他人のクレジットカード情報で不正に決済していたカップルが逮捕された。これもカードを介した形での間接的な不正引き出しのようなものだ。

犯人は36歳の男性と20歳の女性カップル。2017年から400回以上にわたり旅行代金など、約2400万円分の支払いをウェブサイト上で他人のクレジットカード番号を入力して決済していたという。他人のお金で贅沢なホテルに泊まって旅行を楽しんでいたというのだから何ともふてぶてしい。

便利の裏に犯罪あり、必要なのは強固なセキィリティ対策

海外ではATMごと盗難したり、ATMを破壊して現金を引き出したり、本当の意味で強引な手口もあるようだが、世の中が便利になった反面、不正引き出しという犯罪もより便利に簡単に、誰にも気づかれず堂々とできるようになってしまった。「仮想通貨」、「現金」、「カード」と不正引き出しされるお金の種類も様々。「ボタン連打」、「偽造カード」、「カード番号割り出し」と犯行手口の種類も様々。「1人」、「カップル」、「組織」と犯行人数も実に様々なのである。あらゆる側面で多種多様な不正引き出しは、新たな技術やサービスの発展とともに今後ますますその幅を広げていくことが予想される。

国内では来たるキャッシュレス社会に向けて様々なサービスが誕生し賑わいを見せ始めている。100億円キャンペーンや、支払額20%還元と謳い、サービスを提供する側も消費者側も浮足立っているが、その一方でそうしたサービスの穴を探りここでもある種の不正引き出しを狙う輩は確実に存在しているのだ。実際既に昨年12月2次元バーコード「QRコード」を使ったスマートフォンの決済サービス「ペイペイ」では不正利用が多発する事態が発生したのは記憶に新しい。

サービス提供者側にはポイント還元などサービス内容の充実以前に、不正引き出しや不正利用など犯罪を防ぐ強固なセキュリティ対策が何より求められている。

 

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