コインベースがDeFi基金を設立|デリバティブ取引のdYdXとは?レンディングのCompoundとは?

米仮想通貨取引所のコインベース(coinbase)は、分散型金融(Decentralized Finance/DeFi)のスタートアップ専門に投資する基金「USDC Bootstrap Fund」を設立し、デリバティブ取引のディーワイディーエックス(dYdX)と、レンディングのコンパウンド(Compound)に出資したことを発表した。

自社のステーブルコインUSDCの普及の一環

コインベースはCircle社と共にステーブルコインであるUDSコイン(USDC)を発行し普及を目指しているが、その一環として様々なDeFi方面を専門に投資する基金を設立した。今後分散型の金融サービスが広がれば、ステーブルコインであるUDSコインの普及にもつながる狙いがある。

もともとコインベースには、すでに50以上の株式投資を行っている投資部門であるCoinbase Venturesがあったが、今回はDeFi専門とすることで役割を分けている。

デリバティブ取引のディーワイディーエックス(dYdX)とは

中央管理者のいないスマートコントラクトのみでイーサリアムのショートを実現させたことで、その名が知れる金融システム。

そもそもショートとは、投資家が現在持っていない株式を証券会社から借りて、市場で販売することから参加することが出来る投資方法だ。借りた株式は後で価格が下がったあと市場で買いなおして返却する。借りて売った時より、後日買いなおした時の価格が下がっていればいるほど、投資家の利益は大きくなる。市場が下がっている時でも、投資を行うことが出来ることから現在投資市場では主流になっている投資方法である。

スマートコントラクトでショートを実現
分散型金融(Decentralized Finance/DeFi)が注目されている理由は、管理人がいなくても様々な金融システムを再現している点にある。一口にショートと言っても証券会社が株式を貸し、中央集権取引所にて株式売買を成立させ、さらには株式の保管機関、そして清算機関など、既存の株式市場では多くの管理者が必要だ。

しかし、dYdXではイーサリアム上のプログラムだけで、通貨を貸して、市場で販売し、借りた通貨を返却する手順をすべてコード化し、誰も管理しない金融システムとして動作している。

dYdXの仕組み

dYdXの内部の仕組みを分かりやすく説明すると2つの機能から構成されている、一つはスマートコントラクト上で資産をロックする機能、そしてもう一つは通貨の交換が行われる分散型取引所DEX機能である。

イーサリアムのショートを実現するためには、保証金をdYdXに預け、借りた通貨を市場で売買する必要がある。これはスマートコントラクト上に言い換えると、ユーザーの資産である通貨を保証金としてブロックチェーン上にロックし目的の通貨と引き換え、さらにDEXにて通貨の売買をするということになる。

イーサリアムを担保にするドルペッグのステーブルコインであるDAIを発行するMakerを例に取れば、スマートコントラクトで資産をロックしあるトークンと引き換える仕組みはすでに信頼のおけるシステムとなっており、多額のイーサリアム資産がロックされペッグ通貨が発行されている。これをマージン取引に使いやすいように設計したものがdYdXということになる。

またdYdXはレバレッジ機能も有するが、これも保証金をスマートコントラクト上にてロックし、資金を借り一定の変動価格で強制的にDEX売買を行うロスカットが動作すれば実現することになる。さらに今後dYdXでは、オプション取引である未来の売買契約を取り扱う機能もリリース予定としている。

レンディングサービスのコンパウンド(Compound)とは

コンパウンドが提供するサービスは通貨の貸し借りサービスだ。貸したユーザーは利子を得ることができ、通貨が必要なユーザーはローンを組むことが出来る。

利用が広がっているソーシャルレンディングなどの既存のサービスは当然ながらサービス提供者があり、多くの管理者がいて初めて成り立っている。今回出資が行われたコンパウンドでは、すべてスマートコントラクト上で実現しており、管理者を経由することなく、資産を貸し利子を受け取り、また借りたいユーザーは保証金を預け資産を借りることが出来る。

通貨の手数料は需給によって変動する仕組みになっており、供給が多ければ(貸したい人が多ければ)利子は低く、供給に対して需要が上回れば(借りたい人が多ければ)利子が高く設定されるようになっている。

コンパウンドの取り扱い通貨はイーサリアムプラットフォーム上で流通するイーサリアム(ETH)、ダイ(DAI)、USDコイン(USDC)、オーガー(REP)、0x(ZRX)、Wrapped BTC(WBTC)、ベーシックアテンショントークン(BAT)となっている。

9月13日現在、総計4300万ドル(約46億円)の貸し金額があり利用額を順調に伸ばしている。

流動性を高めるために100万ドルずつ出資

今回のコインベースの出資はコンパウンドとディーワイディーエックス共に100万ドル(約1億円)の出資となっている。出資と言っても実際には双方のサービスにステーブルコインであるUSDコインとして入金される予定になっている。これは有望なスタートアップでも初期の流動性を確保するのは大きな障壁となっているとし、取り扱い金額のベースアップを目的としている。

コインベースを始め業界が視線を注ぐDeFi分野。ひいてはイーサリアムの普及にも一役買っていると見る専門家も多く、今後もDeFi利用額が順調に増えていくのか注目される。

参考:The Coinbase Blog Announcing the Coinbase USDC Bootstrap Fund

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