SOV 世界初の法定仮想通貨発行を目指すマーシャル諸島にある小国の大きな挑戦

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近年良くも悪くも仮想通貨は大変注目され、ニュースにもなりましたがそんな中である太平洋の小国が世界を驚かせました。

マーシャル諸島共和国は独自の仮想通貨を発行する:ロイター 2018年2月28日

記事によると当時、マーシャル諸島共和国(Republic of the Marshall Islands:RMI)の大統領補佐大臣だったデビッド・ポール氏はロイターに対し、「国として、我々はデジタル形式であろうと従来の通貨であろうと、どのような形態であれ通貨を発行する権利を保有している」とし、新しい通貨はSovereign/SOVと呼ばれる法定通貨として議会で承認され、SOVは2018年後半に24自治体に対して合計2400万単位発行する予定でICOに先だつ「前売り」はまもなく始まると述べていました。

デビッド・ポール大統領補佐大臣
デビッド・ポール大統領補佐大臣(デビッド・ポール大統領補佐大臣Twitterより)

 

そして2018年3月1日に法定通貨とする法令は大統領による署名がされ、発行されました。
(署名された法案の画像をCNBCアフリカの番組「クリプトカレンシートレーダー」司会者、Ran Neuner氏がツイッターで紹介しています。)

ヒルダ・ハイネ大統領
ヒルダ・ハイネ大統領(SOVプレスリリースより)

 

マーシャル諸島共和国とは

マーシャル諸島共和国はかつて「宝島」作者スティーブンソンが「太平洋の真珠の首飾り」と呼んだその名の通り、美しい29の環礁と5つの島からなる島嶼国です。
国内面積180k㎡(東京都八王子市とほぼ同じ大きさ)に人口53,066人、さらに独自の通貨は無くアメリカドルを法定通貨にしていますが、アメリカや日本と歴史的に緊密な関係を持つ国連加盟の立派な主権国家です。

そんな長年アメリカドルを法定通貨にして来たアメリカの同盟国が、現在主流の自国の信用貨幣発行を経ずに一足飛びで仮想通貨を法定通貨にするという世界初の挑戦を始めようとしています。

挑戦に対しての外からの反応

これに対して国際的金融機関IMFは計画を止めるよう9月10日、マーシャル諸島の経済政策に関する報告書というレポートを出して牽制しました。

レポートでIMFは今回の決定に対して

  • ・仮想通貨導入は導入にかかる費用に対して利益が少ない
  • ・マネーロンダリング防止/テロ資金供与対策(AML/CFT)手続きは曖昧なままとなっている点が多い
  • ・重要な経済ツールである※コルレスバンク、または金融ネットワークとの繋がりが切れてしまう可能性がある

と指摘、そのうえで「(マーシャル諸島の)当局はデジタル通貨を法定通貨にする計画を、真剣に再検討すべきだ」と警告しています。

※コルレスバンク:外貨送金の中継地点となる金融機関

IMFのこの指摘についてマーシャル諸島共和国も対応しています。

仮想通貨の保有者が誰か、資金源は何か、という金融機関が求める情報を担保すべく、SOVの開発にはイスラエル出身のバラク・ベイザーCEO率いるサンフランシスコのFintech企業、Neema によって「Yakwe」と呼ばれるフレームワークを導入することでBitcoinなどの仮想通貨に内在する匿名性の問題を解決。

またSOVの利用ではトークンはあくまで交換機能としてのみ働き、日常的に利用するアプリケーションは指紋認証によって金銭の交換が行われるとプレスリリースで述べています

バラク・ベイザー Feema CEO
国会で発言しているNeema CEOバラク・ベイザー氏(SOVプレスリリースより)

 

IMFからの警告に対する反応

このIMFによる警告について国会で議論がされ、
SOV, RASAR dominate Nitijela:Marshall Islands Journal 2018年9月20日

この警告等を理由に8人の国会議員による大統領不信任案が発議されました。
Marshalls President, facing ouster, blames Chinese influence:RZA 2018年11月8日

しかしその後、不信任案は否決されて計画の継続が決まりました。
Marshall Islands president narrowly survives no confidence vote:RZA 2018年11月12日

 

議会で発言するヒルダ・ハイネ大統領
議会で発言するヒルダ・ハイネ大統領(ヒルダ・ハイネ大統領Twitterより)

 

何故、独自仮想通貨発行に挑戦するのか?

IMFから警告され、国を揺るがすほどの騒ぎを起こしてまで何故このような計画を進めているのでしょうか?

それにはこの国の歴史が大きく関係しています。

マーシャル諸島共和国は環礁と島からなる島嶼国で、その中には有名な世界遺産、そして日本とも関係深い環礁があります、その名はビキニ環礁です。

 

ビキニ環礁
ビキニ環礁(Wikipediaより)

 

マーシャル諸島共和国はアメリカ占領後の1946年から1958年にかけマーシャル諸島共和国内のビキニ環礁とエニウェトク環礁で、アメリカによって合計67回の原水爆核実験が行われました。

そして現在も実験の結果生じた残留放射性物質による深刻な放射能汚染、現地の住民を使った放射能の人体への影響を調べる実験による国民の健康問題を抱えており、これに対して残留放射性物質の除去などでアメリカから毎年6000万ドル(約63億円)の対外援助を受けています。

 

ビキニ環礁で行われたベーカー実験の写真
ビキニ環礁で行われたベーカー実験の写真(Wikipediaより)

 

しかしこの援助金は2023年には3000万ドル(約32億円)にまで減額される予定で、国家予算の6割をアメリカによる基地の使用料と援助に頼っている現状において財政危機であり、経済的自立が喫緊の課題になっているのです。

また近代以降、常に他国からの干渉にさらされてきた歴史を持っている事も大きく影響していることがプレスリリース中の大統領のコメントからも伺えます。

自国の通貨発行は私たち国民にとって歴史的な瞬間であり、最終的にはアメリカドルとともに自国の通貨を使用することになります。
これは私たちの国家の自由を明らかにするためのさらなる一歩となるでしょう。

かつては日本だった

戦後も半世紀以上経ち、殆どの日本人からは忘れ去られていますが現在の北マリアナ諸島・パラオ・マーシャル諸島・ミクロネシア連邦に相当する地域は南洋諸島と呼ばれ、1890年5月に現地との交易が始まったのを機に日本人の進出が始まります。
そして第一次大戦後の1919年に国連(当時は国際連盟)から委任された統治領となり、1945年の第二次世界大戦敗戦により主権を放棄するまでの約26年間、日本の一部でした。

当時の日本は世界に打って出たばかりで世界に認められようと背伸びをしていたことから統治領の振興には大変力を入れており、それまでの西欧の統治国が放置していた当地を発展させようと現在のマーシャル諸島共和国の人口を上回る10万人近い日本人がマーシャル諸島を含む一帯で生活し、働くなど非常に賑わっていたそうです。
また多くの人々が現地に根を下ろした結果、日本語由来の言葉が日常的に使われ、日本にもルーツを持つ人々が今も暮らしています。

このような歴史的な背景以外にも北朝鮮のICBMを迎撃する実験で模擬弾を発射した米軍基地があり、日本で消費されるマグロやカツオの大部分はマーシャル諸島周辺の海域で捕れたものであることや、ドキュメンタリー映画が公開されるなど現在も日本と繋がりの深い国です。

現在SOVのICO(公式ページによるとIMO)は準備中のようですが公式ページがオープンするなど計画は進行中、注目されてはいかがでしょうか?

SOV公式ホームページ
SOV公式ホームページ

 

SOV公式ホームページ:SOV : Crypto that is real money
マーシャル諸島共和国 公式ホームページ:http://www.rmiembassyus.org
映画「タリナイ」公式ホームページ:https://www.tarinae.com/
映画上映情報:https://www.tarinae.com/theater

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