イーサリアムの大型アップデート「コンスタンティノープル」の実施がおよそ1週間後に迫っている。本来コンスタンティノープルは2018年内に完了するはずだった。しかし2018年10月にテストネットで試験中にエラーが発生したことで実施を断念し、2019年1月に延期となった。ところが今度は実施の2日前にリエントラント攻撃に対する脆弱性が発覚し、まさかの再延期。問題を解消した上で2019年2月27日頃にコンスタンティノープルを実施する運びとなった。果たして今度こそ本当にコンスタンティノープルは実施されるのであろうか?
現段階では延期のアナウンスは入っていない。1月の延期発表後イーサリアムの価格は下落したものの、以降イーサリアム絡みのニュースはどちらかと言えばポジティブなものが目立つ。「イーサリアム2.0」の進捗状況を毎週報告したり、イーサリアム創設者のブテリン氏が「コンスタンティノープル」の脆弱性を否定する発言したり、その後の開発は順調に進んでいるように見える。こうした背景もあり、2月17日からイーサリアムの価格は一気に上昇し始め20日時点で先月のコンスタンティノープル実施前の価格まで戻ってきている。
ここ半年ほどはイーサリアムの勢いに陰りが見えていた。ICOの衰退に伴う存在感の低迷、その後のICOプロジェクトによるイーサリアムの大量売却、時価総額ではリップルに並びかけられ2位と3位を行き来する日々が続いた。そんな忍耐の時を迎えていたイーサリアムに、ようやく春の足音が聞こえ始めようとしている。
しかし、である。イーサリアムに春が訪れるか否かは1週間後に控えているコンスタンティノープルに全てはかかっている。仮に延期などということになったりでもしたら、春の訪れどころか真冬へ逆戻りとなり得るのだ。前回の延期アナウンスは実施予定の2日前に入った。1週間を切ったからと言って確実に実施される保証はまだ何もない。
もし再び、いや三度コンスタンティノープルが延期という事態になったらどうなるのか?最低限考えられる3つの未来を見ていこう。
(1)信頼の喪失
既に何度も述べているようにコンスタンティノープルは二度延期されている。さすがに三度目の延期となった場合、人々のイーサリアムに対する信用は大きく失われ、これまで盤石であった時価総額2位というポジションから転げ落ちることにもなりかねない。
(2)イーサリアム価格の下落
信頼が失われることで、当然イーサリアムの価格も大きく下落していく。その下落幅は先月よりも大きなものとなり、また下落期間も長期に及ぶ可能性もある。
(3)遠のくプルーフ・オブ・ステーク(PoS)の実現性
当初からイーサリアムのハードフォークは4段階となっており、第3弾後編の「コンスタンティノープル」の後にはコンセンサスメカニズムをプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ移行するためのハードフォーク第4弾「セレニティ」が控えている。前段階であるコンスタンティノープルの実施が遅れれば、必然的にその後に控えるセレニティの実施も遅れることになる。その結果イーサリアムの悲願であるPoSの実現は遠のき、そうこうしているうちに他の通貨に様々な面で追い抜かれていくことも十分考えられる。
“イーサリアムの未来はコンスタンティノープルにあり” と言っても過言ではない。逆にコンスタンティノープルが予定どおり実施されれば、イーサリアムの価格は上昇しさらには他の通貨の上昇にもつながり、仮想通貨市場全体に好況の波を生み出すかもしれない。コンスタンティノープルは、仮想通貨業界にとっても非常に意義のある大型アップデートになる可能性も秘めている。
いかなる理由があろうとも、もはやコンスタンティノープルの延期は絶対に許されない。