日本でも取り扱われ保有者が多いNEM(XEM)は大型アップデート「カタパルト(Catapult)」を予定しているが、その移行についての詳細なFAQが公開された。
公開されたFAQでも特に重要なものをピックアップする。
取引所ザイフを運営していたテックビューロ社が企業向けに開発したプライベートブロックチェーン「Mijin」は、元々NEMを基本に設計され運用が行われていた経緯がある。そのMijinプロジェクトは日本国内の大手銀行も利用テストを行うなど、実際の利用に則した開発が進んでいたが、その技術をNEMと提携し逆輸入することになったのがカタパルトと呼ばれている技術群である。2016年頃にMijinに実装されていた項目を今回NEMのメインネットにも移植する計画で、主要な機能として、トランザクションの高速化、セキュリティーの向上、複数の取引を同時に実行するなどがある。
既存のNEM(XEM)ホルダーは必ず手続きが必須
今回のカタパルトアップデートは、これまで運用されてきた既存のNEMネットワークと基盤技術が違うためネットワーク自体が分かれるという大前提がある。ノードも新しくなるため、ハードフォークのイメージでもなく、別プロジェクトの新しいネットワークが新設されることを想像する方がイメージとしては正しい。
これまで、現在運用されているNEM(XEM)についてはどのようにすべきか検討が行われていたが、既存のネットワークはそのまま残し新たなネットワークを再構築する方針で進められている。また新たなトークンであるカタパルト(Catapult)トークンはNEM保有者に対しての申請方式による配布となっているため、保有者は必ず手続きが必要となっている。
質問:スナップショットとオプトイン(※申請)の違いは何ですか?
回答:スナップショットは、「写真」を撮り、NEMブロックチェーン全体の全員のXEMバランスを記録するときの用語です。
一方、オプトインは完全に異なる独立したイベントです。新しいカタパルトプラットフォームで新しいカタパルトトークンを取得するには、アカウントをオプトインする必要(申請して意思表示する必要)があります。カタパルトの発売前にオプトインしない場合は、カタパルトの発売後にオプトインできます。オプトインしない場合、新しいカタパルトネットワーク上で対応するカタパルトトークンを受け取ることはできません。オプトインする時期に関係なく、スナップショットの時刻に記録されたXEMトークンに対応する数を受け取ることが出来ます。
既存のNEM(XEM)は廃止されず両方ともの継続
既存のNEMネットワークとNEM(XEM)は廃止される案もあったが、NEM開発陣の決定では今後も二つのネットワークを存在させ続ける方法を選択している。そのため今後も2つのネットワークに、それぞれのトークンが存在するということになる。
質問:それではNIS1(既存のNEMチェーン)は古いネムチェーンとなり、カタパルト用の新しいコインを作成するということですか?
回答:はい。カタパルトは、新しいトークンを持つ完全に独立したネットワークです。既存のNIS1ネットワークは引き続き動作します。
質問:既存のXEMを廃止するため、トークンの1対1の交換対応はありますか?
回答:いいえ。カタパルトは新しいコインを備えた完全に独立したネットワークですが、元のNEMブロックチェーン(NIS1)を廃止することはありません。スナップショットに基づいて、所有者はカタパルトに参加しカタパルトトークンを引き換える権利を有します。XEMは廃止されず、NIS1ネットワークが動作している限り継続されます。
取引所に預けている場合は自身にて手続きを行う必要がある
所有者一人一人が申請意思を表明する必要があるため、仮想通貨取引所が代表して意思表示することはないと発表している。手続き方法については各取引所に従う必要があるが、必ず自身にて手続きが必要であることを強調している。
質問:取引所はユーザーのために移行を代行しますか?
回答:取引所は行いません。エンドユーザーにオプトイン機能を提供する場合がありますが 、それ以外のカタパルト移行は実行されません。
価格についての懸念質問も
新たなネットワークとそれに対応するトークンが生まれ、既存のネットワークも運用されたままということで、NEM保有者が抱く既存のトークンの価格崩壊を懸念する質問も掲載された。ただNEM財団側は価格の推測に関して関与してなく、未来は予測不可能とした。
質問:これは流動性の低下を引き起こすのでしょうか?
回答:財団は、価格の推測に関与していません。未来を予測することはできません。
質問:それでは、XEMと新しいトークンの価格は固定されますか?
回答:いいえ。それは市場によって決定されます。
スナップショット時期はまだ未定
現在スナップショットを撮る日時の発表はまだない。また取引所の対応についても移行について話合いを続けている最中ということを発表している。
新たなネットワークと新しいトークン発行が行われるため、主要取引所の既存トークンの上場廃止や、新しいトークンの取り扱いについては取引所ごとに対応が分かれることも予想されている。
今後も重要な情報発信を行っていくが、特にNEM保有者はカタパルト移行について注意が必要となる。
Hi, Community! Here are some FAQs with the upcoming Catapult launch. Click here ?? https://t.co/MGQE3k91Lr pic.twitter.com/YqXk1YYL4W
— NEM (@NEMofficial) October 9, 2019