Bitcoin.comは、6月4日にローンチしたLocal.Bitcoin.comについて、これまでに約14,000アカウントが作成され、世界中の様々な国の人が活発に取引していると報じました。
Local.Bitcoin.comは、ビットコインキャッシュが取引できるP2PマーケットプレイスでKYCなしで取引できます。ローンチ前の段階で、すでに4,500以上の顧客がおり、アカウント数は1週間で約14,000に達しました。
すでに行われている取引で注目を集めたのは、ベネズエラで複数のトレーダーがBCHの売買を投稿していることで、Redditユーザーの一人は下記のように述べています。
ベネズエラで取引が行われているのは素晴らしいことだ。それは、ハイパーインフレから脱出するために、世界でもっとも経済的な主権/自由が必要とされる場所です。文字通り、命を救うことができる。
ベネズエラは、マドゥロ大統領の価格統制や輸入制限、財政赤字を埋めるための紙幣増刷などでインフレ率が急上昇し、現在は減少傾向にあるものの、今年1月には268万%のインフレ率を記録していました。記事執筆時に確認できたベネズエラの取引数はごく少数なため、状況は厳しいかもしれませんが、新しい取り組みが行われているのを感じます。
そして、日本からも複数の売買取引が投稿されおり、既に数回トレードが行われた形跡があります。
また、中国を見てみると、一人当たりのトレード回数が20までのユーザーも複数おり、活発に取引が行われているのが分かります。主にAlipayを使って取引が行われており、WeChatPayや銀行送金は少ないようです。
KYCなしは大丈夫なのか
Local.Bitcoin.comは、KYCを必要とせず、匿名性の高いやり取りができる設計になっていますが、それはマネロン・テロ対策(AML/CFT)と相反する部分であり、大きな懸念事項とも言えます。
直近では、同じくP2Pの取引を提供していたフィンランドの仮想通貨取引所「LocalBitcoins」が、対面かつ現金での取引オプションを事前通知なく停止しました。
同取引所は、3月にフィンランド議会が承認した仮想通貨サービスプロバイダ法やマネーロンダリング防止法などの規則にのっとって、より安全なサービスを提供していくと発表しており、この改善策の一部ではないかと考えられます。
また、今月8~9日に福岡で行われたG20財務大臣・中央銀行総裁会議では、
仮想資産や関連業者に対する金融活動作業部会(FATF)基準を適用するというコミットメントを再確認する。
という声明が出されており、世界的にマネロン・テロ対策を強化していくながれとなっています。
ベネズエラのような通貨の価値が安定していない国では、自国通貨よりも価値が安定している仮想通貨にニーズがあり、それらをKYCなしで簡単に取引できるLocal.Bitcoin.comのようなP2P取引も必要と考えられます。しかし、それがマネロンやテロで利用され、さらなる悲劇を生んでは元も子もありません。
今後、マネロン・テロ対策をどのように行っていくのか、それとも対策できずに閉鎖へと追い込まれるのか注目していきます。
参考:Bitcoin.com