60年以上にわたり中南米等のコーヒー豆を供給してきた伊藤忠商事株式会社(伊藤忠)は、スイスを拠点とするスタートアップ「Farmer Connect SA社」(FCSA社)提供のコーヒートレーサビリティプラットフォーム「FARMER CONNECT」への参画を発表した。
コーヒーが消費者に届くまでには、木を植えるところから始まるコーヒー豆の栽培・収穫、その後の商品化作業に加えて運送から販売に至るまでの過程がある。この過程で生まれた情報をブロックチェーン上に記録する「FARMER CONNECT」は、消費者へコーヒーだけではなくそのコーヒーが持つ物語を提供する仕組みを持ったプラットフォームとして構築されている。
FARMER CONNECTにはFCSA社によると伊藤忠の他に、コロンビアコーヒー生産者連合会、ダンキンドーナツと取引している米大手JMスマッカー、オランダのJACOBS DOUWE EGBERTS(JDE)、カナダのRGCコーヒー、ベルギーのBeyers Koffie、スイスのSucafinaといった世界的なコーヒー取扱業者7社が参画するとしている。そしてJMスマッカーにJDE、およびその他のパートナーによる試験を経た後、2020年に対象をコーヒー以外に拡大して一般公開する予定としている。さらにFCSA社がIBMの協力によって開発しているアプリ「Thank My Farmer」によって、プラットフォーム上で繋がっている生産者に対し、チップや感謝の気持ちを送ることも可能になるとしている。
今回の発表についてFCSA社の創設者兼社長であるDave Behrend氏は次のように述べている。
最近、世界のコーヒー価格は10年以上で最低価格に達しました。多くの農家は、新しい作物への転換や移住によって完全にコーヒー産業から撤退せざるを得ません。
このような状態が続くと、コーヒー産業の広範なサプライチェーンに対して深刻な影響がおよび、最終的には小売価格の上昇やコーヒー生産国数の減少という形で、消費者が負担を負う事になるでしょう。
これに対して、根本的な透明性や効率性により公平な経済モデルを生み出す可能性を持つデータ駆動型のブロックチェーンテクノロジーと、国境を越えたデジタルアイデンティティをサポートする機能を組み合わせたこのプロジェクトは、世界で最も重要なコーヒー市場に持続可能性をもたらします。
伊藤忠によると、食の安心・安全確保のために行ってきたコーヒー豆の履歴の透明化の確保だけでなく、日本から世界のコーヒー産業発展へ寄与することは、同社が取り組む「商いの次世代化」に沿うものとして今回参画を決定したとしている。
[参考]
・伊藤忠 プレスリリース 2019年9月19日:コーヒートレーサビリティプラットフォーム「FARMER CONNECT」の取組について
・FORMER CONNECT News September 18, 2019:Farmer Connect SA Announces Blockchain Collaboration With The Colombian Coffee Growers Federation (FNC), ITOCHU Corporation, The J.M. Smucker Company, JACOBS DOUWE EGBERTS (JDE), RGC Coffee, Beyers Koffie, And Sucafina To Improve Traceability In The Global Coffee Supply Chain.