インド最大の仮想通貨取引所コイネックス 相次ぐ業務妨害と政策の不備を理由に業務終了へ

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コイネックスはインド最大都市ムンバイに2017年設立の仮想通貨取引所で、インドでは取引量1位の最大手です。
そのインド最大の仮想通貨取引所コイネックスが業務終了を発表したとTheBlockが報じています。

The Block EXCHANGE:Another top Indian crypto exchange, Koinex, is shutting down amidst regulatory uncertainty
The Block EXCHANGE:Another top Indian crypto exchange, Koinex, is shutting down amidst regulatory uncertainty

インドではここ最近だけでも、一時インド国内で60%のシェアを誇っていたゼブペイが去年10月、今年4月にコインデルタ、5月にはコイノミーと仮想通貨市場の盛り上がりとは反対に取引所の閉鎖が続いています。
このような閉鎖ラッシュが起きている原因についてコイネックスの共同創設者であるRahul Raj氏は、ブログで「銀行サポートの欠如と国内の規制の不確実性」を理由に挙げています。

Koinex Medium:Koinex shutdown announcement — Termination of exchange services
Koinex Medium:Koinex shutdown announcement — Termination of exchange services

実際にインドでは仮想通貨取引を理由に銀行口座を閉鎖されたり、決済サービスが拒否されるなどの取引への妨害が個人・企業を問わずに続いています。
これはインドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)が2018年4月、国内の銀行に対して仮想通貨との関係を断つ通知を出したことが影響しています。

RBI PRESS RELEASES:Statement on Developmental and Regulatory Policies
RBI PRESS RELEASES:Statement on Developmental and Regulatory Policies

RBIの通知によると「消費者保護、市場の健全性、およびマネーロンダリングなどの懸念」が仮想通貨排斥の理由との事です。

また仮想通貨に関する法規制については、当初インド政府は2018年の年末までには結論を出すとしていました。
しかしその後、インド財務省の閣外大臣であるポン・ラドハクリシュナン氏から「規制を定めるタイムラインを明示するのは困難」という発言が飛び出し、事態は後退します。

QUARTZ INDIA:No timeline for regulations, India’s cryptotraders cap 2018 with more bad news
QUARTZ INDIA:No timeline for regulations, India’s cryptotraders cap 2018 with more bad news

そして今月初めにはインドの国会議員が仮想通貨取引をした国民に最高10年の懲役刑に加えて、利益・損失の最高3倍の罰金刑を執行する法案を提出したと報じられました。

BloombergQuint:Exclusive: India Proposes 10-Year Jail For Cryptocurrency Use, May Introduce Its Own Digital Currency
BloombergQuint:Exclusive: India Proposes 10-Year Jail For Cryptocurrency Use, May Introduce Its Own Digital Currency

このようにインドは仮想通貨に大変厳しい状態が続いていますが、これにはインド独自の国内事情が大きく影響しています。
インドでは長年にわたって脱税やマネーロンダリングなどの金融不正が続き、遂にはアジアの国家汚職度ランキングトップにインドが選ばれてしまいました。(Forbes:「アジアの国家汚職度ランキング」より)

Forbes:アジアの国家汚職度ランキング、トップにインド 日本は最下位
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現在2期目の首相を務めているナレンドラ・モディ氏はこうした腐敗撲滅を旗印に首相1期目の2016年11月、キャッシュレス化推進とともに不正蓄財の内でかなりの部分を占めているであろう高額紙幣を廃止するという荒療治を実行に移します。

Bloomberg:India Abolishes 500 and 1,000 Rupee Notes to Fight Corruption
Bloomberg:India Abolishes 500 and 1,000 Rupee Notes to Fight Corruption

ところがその結果モディ首相のお膝元で、約30億ドル(3000億円以上)にも及ぶ巨額仮想通貨詐欺が起きるという事態に発展してしまったのです。

SankeiBiz:仮想通貨詐欺、モディ首相に逆風 高額紙幣廃止策で被害拡大か
SankeiBiz:仮想通貨詐欺、モディ首相に逆風 高額紙幣廃止策で被害拡大か

これは高額紙幣廃止に対して、そうした紙幣を大量に抱えていた商人や投資家が手元の現金を当時盛り上がっていた仮想通貨に換えて対抗しようとした結果起きた事件です。
この事件にはモディ首相が率いているインド人民党(BJP)の幹部が関与しているとも言われており、いまだ捕まっていない犯人がいることから事件は現在も未解決なままです。

ナレンドラ・モディ氏(Wikipediaより)
ナレンドラ・モディ氏(Wikipediaより)

ようするにモディ首相にとって仮想通貨はあまり触れたくない存在と化しているのです。

因みにこのような巨額詐欺事件を起こす原因になった高額紙幣廃止ですが、結局キャッシュレス化も腐敗撲滅も達成出来ませんでした。
実際高額紙幣の99%に当たる15兆ルピー近くの紙幣を廃止したにも関わらず、ブラックマネーとして根絶できたのは1600億ルピーとわずか1パーセントという効率の低さや、1600億ルピーのブラックマネー根絶のために刷った他の紙幣の印刷代で2100億ルピーを使っていたなどと、現在はほぼ失敗とされています。

元財務大臣P・チダンバラム氏による損失批判

インドの首相の任期は5年なので2024年までこの状態が続く恐れがあり、こういった背景を悲観しての閉鎖ラッシュと考えられます。

[参考]
・The Block EXCHANGE June 27, 2019:Another top Indian crypto exchange, Koinex, is shutting down amidst regulatory uncertainty
・Koinex Medium Jun 26 2019:Koinex shutdown announcement-Termination of exchange services
・Koinex:https://koinex.in/
・RBI Press Releases Apr 05,2018:Statement on Developmental and Regulatory Policies
・QUARTZ INDIA December 31, 2018:No timeline for regulations, India’s cryptotraders cap 2018 with more bad news
・Bloomberg Quint June 07 2019:Exclusive: India Proposes 10-Year Jail For Cryptocurrency Use, May Introduce Its Own Digital Currency
・Forbes ビジネス 2017/03/16 :アジアの国家汚職度ランキング、トップにインド 日本は最下位
・Bloomberg Business November 8, 2016:India Abolishes 500 and 1,000 Rupee Notes to Fight Corruption
・SankeiBiz 投資・マクロ 2018.09.05:仮想通貨詐欺、モディ首相に逆風 高額紙幣廃止策で被害拡大か

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