資金調達はICOからセキュリティートークン(STO)へ

技術的な進歩が目覚ましい仮想通貨界は移り変わりの激しい世界です。既存の金融システムを変える可能性を持った技術の発展はこれまであった流れには振り向きもせず前へ進みます。

ICOの現状がまさにそうだと言えます。2017年半ばから急激に増加し調達金額を増やしたICOプロジェクトは2018年半ばから全体の調達額が緊急停止。規制や担保を取り入れたセキュリティー(証券)トークンオファリングがICOを踏み越えようとしています。

「事業資金集め」というポイントに焦点をあて、ICOの現状とそれから今後資金調達の方法がどのように変化していくのかをまとめてみました。

ICO資金調達額

2017年半ばから本格的に増え始めたICO。2018年3月時のピーク時から約半年後の8月では約1/3と調達額が減っています。短期間でこれだけ調達額が減っていると激減と言えるのではないでしょうか。

2018年3月から7月まで確認できるICOプロジェクトは月に200を超えており、資金集めを失敗するプロジェクトが多数占めるようになりました。最近ではもっぱらICOでは事業資金はもう集まらないという認識になっているのではないでしょうか。

調達完了件数 調達額
2017年10月 129 910億円
2017年11月 137 740億円
2017年12月 213 1620億円
2018年1月 168 1350億円
2018年2月 186 1630億円
2018年3月 232 1730億円
2018年4月 225 1050億円
2018年5月 258 1070億円
2018年6月 262 1510億円
2018年7月 211 680億円
2018年8月 165 570億円

(https://icobench.com/より)

過去ICOプロジェクトに問題

一気に流行して一気に廃れていきそうな勢いのICOですが、そもそも原因はICOを行って詐欺を行ったり、事業内容を真面目に進める意思がないICOプロジェクトそのものが原因です。

金融庁の研究会でも以下のような懸念点、検討課題として挙げられています。

<ICOに関する意見>
・資金調達という目的上、証券もICOも同じなので規制も同じようにすべきでは
・トークンが高額で取引されている現状を放置すべきではない
・特に消費者保護を焦点にして早めに対応すべき
・いい加減な事業や詐欺などの審査基準はどうするか
・株式のように実体経済との関連性がトークンにはない
・ICOは一般投資家への販売禁止を検討すべき
・ただ禁止してもプロジェクトが海外に流れるだけ
・海外のICO募集を禁止することは実質不可能。啓発が必要では
・発行者の情報開示ルールはどうするか
・ICOは情報開示を義務付ければ資金調達として有用では

(金融庁の研究会資料、ICOに関する意見より)

上記の検討課題でも見える通り、資金調達としては可能性があるICOをどのように規制や審査するか、投資家保護への具体的なルール決めが急務となっています。

この課題にすべて答えているわけではありませんが、認可された16社すべての仮想通貨交換業者が加入する日本仮想通貨交換業協会の自主規制ルールの概要が9月12日に発表されました。その中でICOについては交換業としての立場から”ICOの販売や上場は自主規制を検討する”としています。ICOはとくかくダメと言っているわけではなく、ICOを取り扱う場合は一定の規制ルールを検討すると発表されています。

またICOの審査ルール化も明記され以下のような項目について審査を検討するとしています。

 審査: 事業の適格性実現の可能性
 情報開示: 開始時、終了時、事業進行時の継続的な情報開示
 安全確保: プロダクトや資産管理方法を検証
 資金: 目的以外の用途禁止
 価格: 妥当性を審査

あくまでこの発表は検討している最中という段階です。各交換業者にいたっては業務改善命令への対応に追われる中、このようなICO審査体制が早期に実現するとはなかなか想像しにくいのも確かです。

先に金融庁や日本仮想通貨交換業協会などの行政側を紹介しましたが、仮想通貨業界にはICOの諸問題には当然敏感で、いくつもICOを改善するスタートアッププロジェクトが立ち上がっています。それがセキュリティートークン(証券や担保という意味のトークン)オファリングと呼ばれている資金調達方法です。

セキュリティートークンとは

大きな枠組みはICOと大差ありません。資金を集め、その見返りとして投資家にトークンを配布するのです。ただこれまでのICO時のトークン配布には実体としての権利が結び付けられるような取り決めが一切ありませんでした。実体としての事業権利とは利益配分や投資額に見合った発言権などです。

こういった事業投資に対する権利を保障し、詐欺や不正を抑え健全に投資環境を整えることを目的とした資金調達方法がセキュリティートークンオファリング(STO)と呼ばれ注目を浴びています。

販売所関連セキュリティートークン
・CoinBaseがSec監督下の下セキュリティートークン機能をリリース予定
・バイナンスがマルタ島の証券取引所と提携してセキュリティートークン発行予定
・同じくOKExもマルタ島にてセキュリティートークン発行予定

セキュリティートークンプラットフォームプロジェクト
・Polymath(ポリマス)・・50億円以上の事業資金を集めたセキュリティートークンを発行、管理を行うことが出来るプラットフォームプロジェクト

その他セキュリティートークン関連プロジェクト
・Blockchain.io
・Securitize
・Swarm
・Any Pay・・ICOコンサルタントの経験を活かしてセキュリティートークンプラットフォーム立ち上げ予定

調達額で2018年ピークを上回るのは簡単

ICOからSTOへの流れのポイントは自由すぎた発行から一歩踏み込んでルールや規制をかけ、投資家とプロジェクトとのつながりを確実なものにさせることにあります。

ルールと利便性は表裏一体です。金融庁や通貨交換業協会、SECなどの規制側と、セキュリティートークンを世の中に広めようとするプロジェクトが上手い具合に歩み寄ることが非常に大きなポイントになるのではないでしょうか。

もしうまくいけばICO進化版のSTOが調達額で2018年ピークを上回るのは簡単なことのように思います。期待して見守りましょう。

Close Menu