指定された5つのレースの1着馬をすべて当てる競馬WIN5で2月24日、JRA競馬史上最高配当額となる4億7千万の的中者が1人現れました。的中者が一体どれくらい投資して4億7千万円を手にしたかはわかりませんが、100円が4億7千万円に変わったのです。このニュースは競馬界のみならず一般社会にも流れ、日本中から的中者に羨望の声が飛びました。
このニュースを聞き、多くの人々の心には次の二つの疑問が浮かんだのではないでしょうか。
1.どうやったらこんな馬券が取れるのか
2.税金でいくら持って行かれてしまうのか
1.の馬券術については知る由もなくここでは割愛しますが、気になる2.の税金について詳しく見ていきましょう。
競馬における税金
競馬の場合、年間の配当金が50万円を超える場合は一時所得に該当し税金が発生します。今回は4億7千万円なので当然税金がかかります。「払戻金-購入金額-特別控除50万円」の半分が一時所得となり課税対象になります。
・(払戻金470,000,000円 – 購入金額100円 – 特別控除500,000円)÷ 2
= 一時所得234,749,950円
この金額に年間所得に応じた税率(この場合は最大の45%)で算出された数字に復興特別所得税102.1%を加算します。
・一時所得234,749,950円 × 税率45% = 105,637,478円
・105,637,478円 × 復興特別所得税102.1% = 課税額107,855,865円(A)
また一時所得に対しては住民税10%も課税されます。
・一時所得234,749,950円 × 税率10% = 課税額23,474,995円(B)
よって今回の競馬WIN5で儲けた4億7千万円のうち税金で持って行かれる金額は(A)と(B)の合計約1億3千万円となります。すなわち手元に残るのは3億4千万円。約3割が税金で持って行かれる計算です。
仮想通貨における税金
それではもし仮想通貨で4億7千万円儲けた場合、税金はどうなるのかを見ていきましょう。
仮想通貨は、売却時の価格から購入時の価格を引いた利益分に相当する金額が20万円以上の場合に課税対象となります。ここでは競馬WIN5と合わせるために例としてビットコインを100円分を購入し、その後価格が超高騰し100円で購入したビットコインが4億7千万円となった時点で売却したとします。
・売却価格470,000,000円 – 購入価格100円 = 雑所得469,999,900円
仮想通貨で得た利益は雑所得となり、総合課税の対象となるためこの金額に対する税率は45%となります。さらに住民税10%も加わるため税率は55%(45%+10%)となります。
・雑所得469,999,900円 × 55% = 課税額258,499,945円
仮想通貨で儲けた4億7千万円のうち税金で持って行かれる金額は、競馬の2倍となる約2億6千万円となります。すなわち手元に残るのは2億1千万円。なんと儲けの半分以上が税金で持って行かれてしまうのです。
株式における税金
ついでに株式で4億7千万円儲けた場合、税金はどうなるのかも見ていきましょう。
株式や投資信託・FXの場合は申告分離課税の対象となり、売却時の価格から購入時の価格を引いた利益に対して一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。ここでは例として100円で購入した株が値上がりし4億7千万円となった時点で売却したとします。
・売却価格470,000,000円 – 購入価格100円 = 譲渡益469,999,900円
・譲渡益469,999,900円 × 20.315% = 課税額95,480,480円
株式で儲けた4億7千万円のうち税金で持って行かれる金額は約1億円となります。すなわち手元に残るのは3億7千万円。仮想通貨の半分以下の税金で済んでいます。
宝くじにおける税金
最後に宝くじで4億7千万円が当選した場合にも触れておきましょう。ここは税金の計算は一切不要です。なぜなら宝くじの場合、購入した時点で税金が取られているため、当選金は非課税となっています。
すなわち宝くじの当選金4億7千万円のうち税金で持って行かれる金額は0円、手元にはそのまま4億7千万円が残ります。
まとめ
■4億7千万円を儲けた場合の税金と手元に残る金額
種別 | 税率 | 税金(概算) | 手元に残る金額(概算) | |
競馬 | 総合課税(一時所得) | 30%程度 | 1億3千万円 | 3億4千万円 |
仮想通貨 | 総合課税(雑所得) | 最大55% | 2億6千万円 | 2億1千万円 |
株式 | 申告分離課税 | 一律20% | 1億円 | 3億7千万円 |
宝くじ | 非課税 | なし0% | 0円 | 4億7千万円 |
仮想通貨の税制が競馬や株式と比べていかに厳しいものであるかがわかります。儲けの金額が大きくなればなるほど税金で持って行かれる金額も大きくなるのが仮想通貨税制の現状と言えます。藤巻議員率いる「仮想通貨税制を変える会」や楽天の三木谷社長が理事を務める「新経済連盟」が“仮想通貨の税率55%を株式やFXと同様に20%にするべき”と強く訴えている理由もわかるというものです。
税金の心配は儲けてからすればよい話ではありますが、これらを把握しておけばもしものときに受けるショックも多少は和らぐのではないでしょうか。そんなことを語りながら、筆者は今週末のWIN5に闘志(投資?)を燃やすのでした。