仮想通貨ハードウェアウォレットを購入する前に

仮想通貨をある程度手に入れた時に誰もがぶつかるコインの保管問題。これだけ取引所のハッキング事件が多発しています。国内取引所でも資産管理方法が改善されていますが、それでもやっぱり取引所に預けっぱなしはリスクが大きいと思う方が多いのではないでしょうか。

仮想通貨は手元でしっかり管理することが基本ということで、その際に便利なハードウェアウォレットをご紹介します。

ハードウェアウォレットの目的

ブロックチェーン技術を使った仮想通貨はコイン自体が存在するわけではなくアドレスからアドレスへ送受信した履歴が共有される技術です。送金に重要なのは自分のアドレスとそれを証明するための秘密鍵。この秘密鍵の管理を目的にされたのがハードウェアウォレットです。

ウォレットという言葉からコインが入った財布ような機能を想像しがちですが、実際は秘密鍵をインターネットにつながった端末から隔離した場所に保管しておくことが目的です。

それからもう一つ重要な目的は持ち運びに便利ということです。持ち運ぶ用途はなく自宅に設置する金庫のようなイメージであればその機能から少し外れているかもしれません。なぜならばハードウェアウォレットでも別途紙に書き残さなければならないパスワードのようなもの(後述)があり、それを紙に記して大切に保管しなければならないからです。

ハードウェアウォレットの主な仕様

まだまだ一般的に普及しているとは言い難いハードウェアウォレットですが、日本でも正規代理店から購入できる製品がいくつかあります。その主な仕様は以下のようなものがあります。

主な仕様その1 秘密鍵を(暗号化して)保存する

一番の目的はインターネットにつながっていない場所での秘密鍵の保存(コールドウォレット)です。各製品は秘密鍵を複雑な暗号化を施しハードウェアに保存しています。

主な仕様その2 PINコードでアクセス

PIN(Personal Identification Number)コードとは個人識別番号のことで要するにこの製品に対するパスワードのこと。ほとんどの製品は操作する際にPINコードを入力し操作します。イメージ的にはスマホに毎回ログインパスワードを入れてから操作するあの感じです。

主な仕様その3 リカバリーフレーズ(12語~24語)で完全復元

ハードウェアウォレットは壊れたり、なくしたりしても復元することができます。でも12語のフレーズだけでいろんな通貨の自分の資産を完全復元ってとても不思議ですよね。実は世の中でウォレットと呼ばれているものにおいて一番重要なのはこの機能です。これをちゃんと把握しているか否かによって資産の安全性がかなり違うのでしっかり頭に入れて所持したいところです。

そもそもいくつもの種類の通貨を保存する場合は、アドレスの数とそれに対応する秘密鍵の数が多くなってしまいます。それぞれのアドレスに対応する秘密鍵を紙に書き残して管理するのはとても大変です。

それを解決するためにある元データ(シードデータ)から無限のアドレスとそれに対応する公開鍵を生成するHD(Hierarchy Deterministic)ウォレットという技術があります。一つの元データから複数のアドレスを無限に生成出来ることから現在ウォレットと呼ばれているものにはこの技術が採用されています。

この技術を使っているウォレットの場合、複数の秘密鍵を書き残す必要はありません。元データ一つだけを書き残せばいいだけです。

この元データですが人が見ても非常に分かりくいものです。そのためこのデータを人間が見ても覚えやすいものに変換した規格(BIP39)がリカバリーフレーズ、またはシードフレーズと呼ばれているものです。

この規格の対応表は英語はもちろん日本語など各言語がありそれぞれ2048個設定されています。例えば日本語だったら以下のような感じです。

1. あいこくしん
2. あいさつ
3. あいだ
4. あおぞら
5. あかちゃん
 ・・・
 ・・
 ・
BIP39規格 日本語対応表より

この自分だけの並びを持った12語~24語からなるフレーズをメモしておくことが元データを記憶しておくことにつながり、複数の種類のアドレス&秘密鍵を完全復元できるのです。

ハードウェアウォレットをなくした、壊れたという場合でもこの技術を使ったウォレットであれば、自分の資産を取り戻すことができます。この元データ、リカバリーフレーズが最も重要ということを頭に入れておいてください。しかも同じ技術、規格を使っているウォレットでは、全く違うメーカーでも、ハードウェアウォレットではなくても互換性があり完全復元できます。万が一ハードウェアウォレットを落とした場合、自分の資産をどのウォレットで完全復元するかを自分の中で予め決めておくことをオススメします。

ハードウェアウォレットを2個、3個とバックアップ用に買い揃えておくのが重要なのではなく、一番大事なのはこのフレーズを紙に書き残して大事に金庫にしまっておくことです。

現在販売している製品は同じものをセット販売をするメーカーが多いです。こういった仕組みを把握した上で、自分に必要な機能とハードウェアの数をしっかり検討して購入しましょう。

ハードウェアウォレットが手元にあってもリカバリーフレーズが盗まれてしまった場合は資産流出を意味します。リカバリーフレーズを盗まれた場合に加えて、ハードウェアウォレットとPINコードを2つセットで盗まれてしまった場合も資産流出です。気を付けましょう。

過去リカバリーフレーズやPINコードがあらかじめセットされたハードウェアウォレットが市場に出回り、悪質な例として話題になりました。必ず自分だけしか知らないフレーズを初期設定で作ってから利用開始することが重要です。何が大切なのかを正しく理解しないと悪質な詐欺に引っかかってしまいます。

各製品に共通するデメリット すべて英語

現状購入できる製品すべてに通じることですが、インターフェイスが日本語のものがありません。小さな製品が多いのですべて表示はアルファベットで、メニューもすべて英語です。リカバリーフレーズも日本語対応の製品はなく、現状は英語のフレーズのみです。

もちろん正規代理店を設置している製品は日本語での取扱説明書や日本語サポートがしっかりありますが、それでも実際の機器を操作する場合はすべて英語メニューなので注意する必要があります。

ここについては日本国内の製品登場、または各製品の日本語ローカライズを期待したいところです。

現在日本で購入できるハードウェアウォレット

ここからは日本国内でも購入することができる製品を中心に紹介します。

Ledger Nano S

世界ですでに100万台以上販売しているUSBメモリタイプの小さなボディーが持ち運びに便利なLedger Nano Sです。

Ledger Nano S公式ホームページより

特徴1 持ち運びに便利な小さなボディ
Ledger Nano Sの一番の特徴はこの小さなボディでしょう。

この小さなボディーに液晶画面と小さなボタン(2つ)、そしてマイクロUSB端子が付いたレイアウトになっています。

特徴2 非常に多くのコインに対応
仮想通貨の特徴として各コイン規格が統一されていないことが挙げられます。プラットフォームが違えばそのプラットフォームにあったウォレットが通常必要です。

Ledger Nano Sでは非常に多くのコインに対応しており、現在も随時対応コインを増やし続けています。さまざまなプラットフォームが登場している仮想通貨では対応コインを随時更新していくことが必須の機能となっています。

対応コインはこちら
https://www.ledger.com/pages/supported-crypto-assets

特徴3 残高確認や送金も専用アプリで可能
仮想通貨はその口座(アドレス)と秘密鍵を使うことによって送金します。その秘密鍵がLedger Nano Sに保存されています。送金時はWindows、Mac、Linux上で動作するLedger Liveアプリケーションと、Ledger Nano Sにしか保存されていない秘密鍵を使って送金します。

Ledger Liveはコインの残高はもちろん、値動きまで確認できる総合アプリです。すっきりしたインターフェイスなのでこちらも確認してみて下さい。

 

Trezor

先代モデルが昨年かなりの数流通したことで有名なのがTrezorです。現在の最新モデルではカラータッチパネル搭載でハードウェアウォレット上で行える操作も格段に増えたことがTrezor Model Tの特徴です。

Trezor公式ホームページより

特徴1 非常に多くのコインに対応
こちらも取り扱いコインがとても多いことが特徴の一つになっています。公式ホームページではわかりやすい対応表を公開しています。購入する際は自分のコインと照らし合わせましょう。

対応コイン表
https://trezor.io/coins/

特徴2 過去発生したバグや問題点を公表している
ハードウェアウォレットでは資産流出につながる設計ミスは大惨事につながります。Trezorの信頼にも関わる問題点を懸賞ポイント制を採用して公式ホームページ上で公開しています。メーカー側は勇気がいると思いますが、利用者からは逆に安心感を与えているのかもしれません。

特徴3 フルカラータッチスクリーン
Trezor Model Tではハード内蔵のタッチパネルでPINコードの入力やパスフレーズの入力など様々な操作が小さな画面上から行えます。

 

keepkey

2014年から取引所機能を提供しているスイス発のShapeShift。このグループ会社が提供するハードウェアウォレットがkeepkeyです。

keepkey公式ホームページより

特徴 最大の特徴は500以上の取引ペア
ShapeShiftのグループ会社だけあって一番の特徴は500以上のペアを提供するコイン交換機能です。

通常ハードウェアウォレット、言わば個人の手元で管理を開始したコインを売買する場合、まず手元のハードウェアウォレットから取引所に移す必要が当然出てきます。これが地味に面倒だったりします。ところがkeepkeyでは独自のアプリを使いShapeShift経由で即座にコイン間のトレードを可能にしています。用意しているペアは500以上ということなので「寝かせるつもりだったコインをどうしてもすぐにペッグ通貨に変えたい」なんて場合は非常に便利かもしれません。

その他にも多数 日本製に期待

その他にもCoolBitX、digitalbitbox、Safe-T Miniなど様々な海外製品があります。しかしながらアマゾンのハードウェアウォレットコーナーを見てもわかる通り、残念ながら日本製のハードウェアウォレットがありません。

取引所や規制関連もそうですが、このあたりも日本勢が出遅れているのではないかと思わせる点です。精密機器に得意な日本製のハードウェアウォレットが買えるようになる日が非常に楽しみです。

※この記事はウォレットの概要やその仕組みの紹介が主で実際のハードウェアの使用に沿っていない可能性があります。購入の際は、製品を十分ご確認下さい。

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