G20大阪、仮想通貨(暗号資産)規制はマネーロンダリング及びテロ資金供与への対策で国際的合意へ

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G20大阪、仮想通貨(暗号資産)規制はマネーロンダリング及びテロ資金供与への対策で国際的合意へ

今年のG20は日本が議長国として6月を軸に開催される。6月8日~9日が福岡県での財務大臣・中央銀行総裁会議、28日~29日が大阪府での首脳会合になる。

G20大阪の日程と開催地
出典:警察庁

仮想通貨(暗号資産)については、昨年G20ブエノスアイレスの首脳宣言において「我々は,金融活動作業部会(FATF)基準に沿ったマネーロンダリング及びテロ資金供与への対策のため,暗号資産を規制し,必要に応じて他の対応を検討する。」とし、2019年6月に行われるG20大阪での国際的合意の方針が採択されている。

日本は、議長国として「マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策」及び提言、合意へ存在感を示すことが求められており、さらに「FATF第4次対日相互審査」が2019年10月~11月頃に控えている。

日本は2008年のFATF第3次対日相互審査報告で、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策への不備の指摘を受けており、2014年2月の仮想通貨取引所マウントゴックスによるビットコイン流出事件の後、2014年6月に2008年の指摘への早期改善への再指摘をされている。

その後、マネロン対策のための2014年11月の「犯罪収益移転防止法の再改正」を皮切りに同法改正を度々進めてきたが、2018年2月の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」の公表直前の1月に、コインチェックによる580億円にも上る巨額の仮想通貨NEM流出事件が起き、再度のマネロン対策の見直しを迫られる事態へと転げ落ちていく事になる。2018年9月には問題のさなか、さらに仮想通貨取引所Zaifが70億の仮想通貨流出事件も起きている。

さらに2019年に入り、マネロン対策に関する金融機関への対応が切羽詰まってきている中で、2月27日28日の米朝首脳会談が物別れに終わり北朝鮮への経済制裁の強化が話題にあがる裏で、FATF勧告では北朝鮮(とイラン)が資金洗浄・テロ資金供与の高リスク国・非協力国・地域として挙げられ、さらに3月には国連発表による仮想通貨交換業者へのサイバー攻撃に関する部分で、北朝鮮のコインチェック事件への関与が報告されている。資料ではZaifの不正流出事件に関しても言及されているが関与した組織については不明となっている。

出典:Group-IB

アメリカは北朝鮮への経済制裁に対し、北朝鮮が経済制裁下で仮想通貨などによる組織的な資金集めを行うことで、制裁逃れとなる状況を懸念しており対応強化を各国に求めてきている。ここに来てさらに日本のマネロン対策への対応状況はサイバーセキュリティへの対策強化を巻き込み、予断を許さない状況になってきている。

これに並行し日本では、2月に「「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」の一部改正(案)」を公表、意見を募り、3月15日には「資金決済法と金融商品取引法の改正案」が閣議決定され、第198回通常国会で提出・審議される。6月のG20大阪を目前に控え日本は、天皇の生前退位に始まる令和への改元や、ゴールデンウィークの大型連休を挟み時間的猶予のない日々が続くことになる。

上述のように、日本におけるマネロン対策は立て続けに起きた仮想通貨に係る問題により、もとより少なかった時間的猶予がガリガリと削られる事態に陥り、金融規制全体が喫緊した雰囲気を擁しており、国際協調が重要視される中、議長国という立場で第3次対日相互審査に続く第4次においても不備の指摘を受けることは絶対に避けたい事態だ。

しかし、各国に先立ち様々な問題に直面し課題の解決を迫られることは、同時に各国に先立ち明確な仮想通貨への法整備を進められるノウハウを得られる機会とも捉えられ、複雑化する金融問題に対してリーダーシップを示し、健全な市場育成の足掛かりとなる規制とそれによる各国からの投資を呼び込む大胆な経済政策の機会となることを期待したい。

もちろん、これらの日本政府ならびに金融庁の努力を水泡に帰す、トークン発行元や仮想通貨交換業者の軽率な行動こそが現状の最たる障害であることを、肝に銘じる時であることを憂慮する次第である。

[参考:]
G20大阪サミット
・金融庁:第198回国会における金融庁関連法律案
・国連発表の元となった提出レポート:Group-IB: 14 cyber attacks on crypto exchanges resulted in a loss of $882 million

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