【財務省】G20財務大臣・中央銀行総裁会議(声明:仮訳)が公表、暗号資産への言及を解説

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【財務省】G20財務大臣・中央銀行総裁会議(声明:仮訳)が公表、暗号資産への言及を解説

G20財務大臣・中央銀行総裁会議が6月8日~9日にかけて福岡で開催され、その声明(仮訳)が財務省で公表された。

その中で、暗号資産(仮想通貨)について書かれた文章量は大幅に増えており、ビットコインの価格上昇などを起因として、12月の声明から大きく存在感を伸ばした形にはなる。

大まかに拾い上げると「項目13での暗号資産」の他、「項目11でのデジタル課税について」、「項目14でのマネーロンダリング、テロ資金供与及び拡散金融について」も暗号資産が絡む課題を含んだ内容となっている。

以下、声明文からそれぞれ見てみる。

(13より)
暗号資産の基礎となるものを含む技術革新は、金融システム及びより広く経済に重要な便益をもたらし得る。

各国金融機関は送金コストの課題を解決する手段、最貧国・新興国の金融参加を阻む問題への解決手段として、ブロックチェーンを始めとするDLTの有用性に着目している。特に金融参加が難しい国々を金融システムへ招き入れる可能性について期待が高い背景がある。


(13より)
暗号資産は、現時点でグローバル金融システムの安定に脅威をもたらしていないが、我々は、消費者及び投資家保護、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策に関するものを含め、リスクに引き続き警戒を続ける。

冒頭、前回声明文を維持するスタンスだが、2019年に入ってからのビットコインの価格再急騰と投機的な動き、未だ続く仮想通貨交換所のハッキングや破産トラブル、経済制裁が行われている国による制裁逃れの手段と取れる動きなど、「リスクに引き続き警戒を続ける」と継続監視の必要性を強調。


(13より)
我々は、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策のため、最近改訂された、仮想資産や関連業者に対する金融活動作業部会(FATF)基準を適用するというコミットメントを再確認する。我々は、FATFが今月の会合にて、解釈ノート及びガイダンスを採択することを期待する。

2月のFATFによるガイダンスを、今月21日のFATF会合にて具体的な基準を示し採択するという強い念押し。2月からの大きな変更は見られない。仮想通貨取扱の免許制・登録制を各国導入とする法整備への義務を明確な基準として引き上げとなる。


(13より)
我々は、消費者及び投資家保護や市場の健全性に関し、暗号資産取引プラットフォームについてのIOSCOの報告書を歓迎する。我々は、FSBの暗号資産当局者台帳や、暗号資産における現在の取組、規制アプローチ、及び潜在的なギャップに関する報告書を歓迎する。我々は、FSBと基準設定主体に対して、リスクを監視し、必要に応じ追加的な多国間での対応にかかる作業を検討することを要請する。

利用者保護に関して、IOSCOとFSBの報告書を上げ、各国の規制アプローチやスタンスに統一性がなく「潜在的なギャップ」がある事を指摘している。これらの点について一様に合意することは困難である事から、「必要に応じ追加的な多国間での対応にかかる作業を検討することを要請する。」と、国際協調の必要性を示しつつも具体性に欠けた表記となっている。

IOSCOは、投資家保護、市場透明性の各国協調、インフラストラクチャーなどの各国経験の共有、など国際的証券監督を担う。
FSBは国際金融に関する安定措置、規制、監督などの役割を担っている(オフショアマネー、タックス・ヘイブン、マネロンに代表されるものなど)。

[金融庁:]
証券監督者国際機構(IOSCO)
金融安定理事会(FSB)


(13より)
我々はまた、分散型金融技術、それが金融安定性や規制、ガバナンスにもたらす潜在的な影響、及び当局が広範なステークホルダーとの対話をどのように強化できるかについてのFSBの報告書を歓迎する。
我々は、サイバーの強靭性を高める努力を強化し続けるとともに、サイバー攻撃への対応や復旧のための効果的な取組を明らかにするFSBのイニシアティブの進捗を歓迎する。

これも利用者保護に帰結する側面があるが、分散型金融(DeFi)技術という未だ成長途上で不確定要素の強いFintechに対し、DEXおよびDEX利用者や分散型金融の提供を試みる発行元などステークホルダーに如何にアプローチするか、交換所へのハッキングが相次いでおり、未知のサイバーリスクにおける「マネーロンダリング・テロ資金供与対策」の強化の取り組みへの重要性について触れている。


(14より)
我々は、マネーロンダリング、テロ資金供与及び拡散金融と闘い、これを防止するための国際基準の設定主体としてのFATFの不可欠な役割を強調する国連安保理決議2462号を歓迎する。これらの脅威と闘う努力を強化することについての我々の強いコミットメントを再確認する。我々は、FATF基準の完全、効果的かつ迅速な履行を求める。我々は、今年4月に開催されたFATF大臣会合において、FATFマンデートが恒久化されるとともに、大臣級会合の2年に1度の開催やFATF議長・副議長の任期延長を含めたFATFのガバナンス強化につながる成果が得られたことを歓迎する。我々は、FATFの「戦略的な見直し」に期待する。我々は、金融技術革新がもたらすリスクと機会をモニターし、FATF基準が変化に適応した適切なものであり続けることを確保するとのFATFによるコミットメントを歓迎する。我々は、その進捗を2021年に報告するようFATFに求める。我々は、拡散金融への国際的な対応を強化するためのFATFによる更なる行動を期待する。

「マネーロンダリング、テロ資金供与及び拡散金融」への恒久課題に対するFATFへのコミットメント。および上述(13)でも触れられている「今月のFATF会合」に対する2021年の報告への採択。2021年にFATFによるガイダンスの効果について報告討議される流れとなる。


(11より)
我々は、世界規模で公正、持続可能かつ現代的な国際課税システムのための協力を継続するとともに、成長志向の租税政策を推進するための国際協力を歓迎する。我々は、G20/OECD「税源浸食と利益移転(BEPS)」パッケージの世界的な実施及び税の安定性向上の重要性を再確認する。我々は、経済の電子化に伴う課税上の課題への対応に関する最近の進捗を歓迎し、BEPS包摂的枠組みによって策定された、2つの柱からなる野心的な作業計画を承認する。我々は、2020年までの最終報告書によるコンセンサスに基づく解決策のための取組を更に強化する。我々は、税に関する金融口座情報の自動的交換の進捗を含む税の透明性に関する最近の成果を歓迎する。我々はまた、国際的に合意された税の透明性基準を満足に実施していない法域の更新されたリストを歓迎する。我々は、強化されたすべての基準を考慮した、OECDによるリストの更なる更新を期待する。リストに載った法域に対しては、防御的措置が検討される。この点において、我々は利用可能な措置を列挙した2015年のOECD報告書を想起する。我々は、全ての法域に対し多国間税務行政執行共助条約への署名及び批准を求める。我々は引き続き、「税に関する協働のためのプラットフォーム(PCT)」を通じた協調や、中期歳入戦略に関する経験の活用、能力が限られた国々における国内資金動員を支援する各国の状況に合わせた努力等により、開発途上国における税に関する能力構築支援を支持する。我々はPCTの最初の進捗報告書及び日本における「アジア大洋州租税・金融犯罪調査アカデミー」を歓迎する。

デジタル課税について、2020年の最終報告を控え、各国の国際協調の必要性の再確認とその取り組みについての進捗報告。
進捗の骨子について分かり易く言うと「開発途上国における税に関する能力構築支援」であり、極端な租税回避政策を行う地域に対する「世界規模で公正、持続可能かつ現代的な国際課税システム」の要求である。暗号資産分野では、バルト三国やマルタ、パナマやマーシャル諸島などが有名だが、途上国とは言えないシンガポールや韓国、香港などもタックス・ヘイブンとして要注意地域として挙がっている実情がある。


具体性に欠けるも、言及する文章増を是とするか否か?

今回、暗号資産の規制の着地について方向性が期待されたG20であったが、声明文から読み取れる内容からは、FATFのアップデートの法整備方針の確定以外は、具体性に欠けた内容という市場の落胆を誘う結果となった感は否めない。
一応、言及する文章量については大幅な増加となっており、暗号資産(仮想通貨)とその基盤たるブロックチェーン技術、派生する分散型金融(Defi)への対処など存在感を示していると前向きに受け取れるか所もある。

気を付けたいのは、曖昧なまま「文章量のみが膨らんでいる」点、国際協調については「報告をテーブルに挙げたところまで」となり今後も「潜在的なギャップ」を拡げそうな点などがあげられる。これだと、急激な取り締まり路線へ舵を取るリスクに対し、仮想通貨関連事業はリスクを抱えたまま事業を拡大するか、または事業拡大をしない、もしくはアクセス制限によるリスクヘッジをする窮屈な状態が続くことになる。

[参考:]
20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)(2019年6月8-9日 於:福岡)【財務省】

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