揺れるテザーと疑惑の行く末

ここ数日ステーブルコイン「テザー(Tether)」の価格が揺れている。価格の変動がないことが売りのペッグ通貨がなぜこのような状況に陥っているのか。

テザーは1USDT=1ドルの価値がある。通常0.99ドルほどの下落はあるものの、10月12日以降は0.98ドル以下に落ち込むこともしばしば、15日に至っては一時0.945ドル(年初来最安値)にまで下落した。これはステーブルコインとして異常事態と言っていい。

Tetherチャート
出典:CoinMarketCap

テザー疑惑の再燃

今回の下落の原因は、大口投資家によるUSDTの売却と見る向きがある。実際28億ドルあった時価総額が、19日現在21億ドル以下まで大きく減少している。

15日にはビットコインの価格が急騰する事態が発生しており、USDTが売却され、BTCが購入されたことがチャートの動きからも推察できる。

15日のテザーとビットコインの値動き
出典:CoinMarketCap

 
このテザーとビットコインの値動きは、これまで何度も取り沙汰されている“ビットコイン価格上昇の裏にテザーの動きあり”、すなわち「テザー疑惑」を再び強く印象づける結果となった。

テザー疑惑が晴れることはあるのか

テザー疑惑とは、テザーを発行するTether Limited社の準備金の存在に対する疑惑Tether Limited社による価格操作に対する疑惑の2つを意味する。

1つめの準備金の存在に関しては、今年6月正式ではないものの第三者による調査によって準備金の存在が立証されたことでこの点に関してはわずかに疑惑は解消された。今後正式な外部監査を受け、準備金の存在が確認されさえすればこの点の疑念は払拭できるだろう。逆に準備金が存在していないことが判明すれば、その時点で「テザー疑惑」改め、「テザー確信」となる。

しかし2つめの価格操作に関しては、今回もそうだがTether Limited社が価格操作をしたかどうかを示す明確な証拠はなく、あくまでも憶測であり、それを解明することはおそらく不可能だ。つまり、これまでと同様にテザーの動きと連動してビットコイン価格が上昇する事象が起こる限り、この先もテザー疑惑が消え去ることはないだろう。

新たなステーブルコインの台頭

テザーの価格が揺れる中、新たなステーブルコインが勢いを見せ始めている。仮想通貨取引所OKExHuobiがともに、「Paxos Standard Token(PAX)、「TrueUSD(TUSD)」、「USD//Coin(USDC)」、「Gemini Dollar(GUSD)」という4種類のステーブルコインの取り扱いを開始したのだ。このタイミングでの追加は、明らかにテザーへの不信感およびテザー離れを意識してのもと思われる。

疑惑を残しつつ今のポジションを維持し続けるのか、疑惑が晴れ真のステーブルコインの地位を確立するのか、はたまた信頼が失墜しテザーの価値喪失の道へ進むのか、あるいは新たなステーブルコインの台頭を許すのか、今後のテザーと投資家の動向に注目が集まる。

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