ウォレット業者、不公正な現物取引、仮想通貨の呼称、ICOなどの規制について検討「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第9回)

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【金融庁】ウォレット、インサイダー、呼称、デリバティブ取引などが検討された「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第9回)

11月12日(月)16時より、金融庁による仮想通貨交換業等の研究会(第9回)が、中央合同庁舎第7号館 13階にて開催された。

今回の研究会では、仮想通貨交換業等に係るその他論点として「ウォレット業者に対する規制」「不公正な現物取引への規制」「仮想通貨の呼称」「仮想通貨デリバティブ取引に係るその他の論点」などについて意見が交換された。

また、最後にICOの規制に関して、前回8回研究会の意見を踏まえ、今後の対応をどう臨むかのための知見の共有が行われた。

■討議が行われた点
1.仮想通貨の売買等を伴わない仮想通貨の管理を業として行う者(いわゆるウォレット業者)に対する規制の要否等
2.仮想通貨の不公正な現物取引への規制の要否等
3.仮想通貨の呼称
4.仮想通貨デリバティブ取引に係るその他の論点

▼参考資料
参考資料:「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第9回)

ウォレット業者への規制

ウォレット業者については、海外のウォレット業者によるクロスボーダー的な幅広い範囲でのサービス提供もあり、さらに、FATF(金融活動作業部会)において、仮想通貨交換業に加え、ウォレット業務もマネロン・テロ資金供与規制の対象にすることを各国に求める旨の改訂FATF勧告が採択されたことから説明され、今回の議題となった。

金融庁は、現在の資金決済法における仮想通貨交換業の定義として「仮想通貨の売買・交換を管理することを仮想通貨交換業に該当する」「仮想通貨の管理、指定先への送金のみで売買・交換を行わない場合該当しない」事になることを改めて説明、意見を求めた。

ウォレット業者についてメンバーからは、ウォレット業者が銀行やカストディアン的な存在としてカストディ業務を行う状況、顧客の資産を預かる預託リスク、流出のリスクにおけるセキュリティ的な対応が必要とされる観点などが意見として出され、概ね仮想通貨交換業者と同様に規制の必要性があるとして共通していた。

しかし、仮想通貨交換業と同等に規制すべき対象だが、個々の業者への対応の難しさ、望ましい規制とできる規制とのギャップなど、同じ規制の枠組みでの適用には疑問が出された。
また、ウォレット業者には国内だけでなく海外ウォレット業者もおり、さらに海外業者ではウォレットの管理と送金を行うだけのケースから、売買・交換まで可能なサービスが広く多岐にわたることから、一律な規制での対応の難しさ、越境時の海外業者が認可・不認可の各ケースどちらかにおける国際的な適法が可能なのかなど、ルール作りのため国際協調の必要性についても意見が出た。

不公正な現物取引への規制

※“仮想通貨デリバティブ取引”との混同を避けるため、仮想通貨の売買等を「現物取引」と記載

相場操縦は明らかに公然の事実で、支払い手段として定義した仮想通貨が、支払い手段としては使われず投機的であるならば、不正な取引として何らかの制度が必要という意見で共通しつつ、モニタリングのコストや経済合理性を考えたときに、金融商品取引法の定めるインサイダー取引と同等の規制を行うのは現実的ではないとの見解が多くを占めた。
ICOの多くの始まりからして、発行元や提供元における開始時と継続的な情報開示性の低さなど問題が多くを占めることから、取り扱う業者等による業界の自主規制と牽制的な罰則で対応を行い、併せて必要な法制を議論していく必要があるとした。

仮想通貨の呼称

金融庁は、仮想通貨交換業への規制導入時、資金決済法では、下記理由から「仮想通貨」との呼称を使用することとした経緯を説明、一方、G20等の国際的な場においては、通貨としての側面は持たずとして「暗号資産」との表現が用いられつつある事に触れ、仮想通貨の呼称の適性について意見を求めた。

・ FATFや諸外国の法令等で用いられていた「virtual currency」の邦訳であること
・ 日本国内において「仮想通貨」という名称が広く一般的に使用されていたこと

メンバーからは、「仮想通貨」という呼称を使い続けることには多くの異論が出た。メンバーによる意見の内容は概ね「支払い手段として仮想通貨を定めたが、投機的に扱われている実態から考えれば通貨という言葉の使用は適切ではないのではないか」という発言が続き、「暗号資産」のような一般消費者の誤解を受けないような定義での取りまとめが必要ではないかという意見が出た。

一方で、ハッキング事件等が相次いで起きている状況下で「新しい名前により、消費者に新たな投機機会と誤解を生む危険」の可能性についても触れられた。
その中で、日本仮想通貨交換業協会の奥山会長は、呼称についてはこのまま仮想通貨で行かせてもらいたい。事件なども発生しているので「名前を変えて売り出し直しますみたいなことはしたくない」と強く要望を述べた。

仮想通貨デリバティブ取引に係るその他の論点

仮想通貨デリバティブ取引に係るその他の論点について、多数の市場参加者の参加を可能とする公共性を有する取引所市場の形成に関しては概ね取引市場は必要ないという意見が多くを占めた。
さらに、対象とする法規制を金融商品取引法と同じとすることには違和感があり、消費者に混乱や誤解を与えるのはないか、仮想通貨デリバティブが通常のデリバティブと同じ機能とリスクを有しているのか、デリバティブ取引やレバレッジがボラの拡大の原因になっているのではないかなど、仮想通貨デリバティブ取引が本質的にデリバティブ取引と同一であるかの疑念など、金融商品取引法で扱うことの課題について意見が出た。

ICOの規制について補足、その他

その他について、前回研究会第8回のICOに対する意見についてまとめと、今後の議論に関して補足説明がされた他、楠メンバーより提出された「日本人が関与した主なICOについて」を説明、ICOへのメンバー内での知見が交換された。

また、楠メンバーより提出された「Zaifから流出したMonacoinの送金指示元の逆探知について」を例に、国内および海外を経由しクロスボーダー的な対応の困難さや、オープンソースによる情報量の差異、GDPR(EU一般データ保護規則)などの昨今のプライバシー保護の問題から追跡に必要なログ収集が中止され残されていなかった可能性について意見が出され、仮想通貨規制や刑事罰を定めたところで効力を発揮することには疑問があり、その手前として操作能力を高めていく必要性が論じられた。他のメンバーからも、サイバーセキュリティ面での今後具体的な指針が必要という意見が出ていた。

さらに、ICOの事例に関してメンバーでの知見が共有される中、ICOには必ずしも投資家が一方的に騙されるケースだけでなく、ファン行動など投資家側がリスクを承知で少額の投資するならと前回の第8回研究会の補足資料にも触れ、金額の規模や詐欺リスクが高いものには金商法などの適用が当然必要だが、情報開示や教育や注意喚起の徹底を行うことで、少額なものなど投資家のリテラシー上げることによる資金決済法の範囲での対応も必要ではないかと、一部について金融商品取引法と分けたスタートアップとしてのICO規制の在り方を考慮する必要性への意見も出た。

金融庁:仮想通貨研究会第9回、日本人が関与した主なICOについて 金融庁:仮想通貨研究会第9回、Zaifから流出したMonacoinの送金指示元の逆探知について

日本仮想通貨交換業協会の奥山会長は、ICOについては多くの種類があり、それぞれのプロジェクト内で変化するため、データのベンチマークや様々なモニタリングのポイントを用意しながら、ICOは見ていく必要があると思っている。
日本が関与する事例は少ないが、海外の事例では昨年と2018年ベースで2倍近く発行が伸び数も増えており、日本の中でどう取り扱うかの指針と、利用者保護に対してガイドラインを設置することが求められていると考えている。と述べた。

研究会の今後の開催について

最後に研究会への全体感について、今回の研究会で仮想通貨に巡る問題について概ねの一巡をしたとの認識だが、意見が割れている課題もあり、次回以降の研究会ではICOへの対応など今後よりさらに議論が必要とされるであろう内容について、何が必要か意見を集めながら進めていく必要がある。諸問題について全体的な方向性を持った議論をする必要があると締めくくった。

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