複数の法定通貨や国債が裏付け資産|フェイスブック(Facebook)が発行する仮想通貨リブラ(Libra)はグローバルなステーブルコインだった

米SNS大手フェイスブック(Facebook)が発行を予定している仮想通貨は、USドルだけにペッグしたステーブルコインではなく、複数の法定通貨、そして複数の国債が裏付け資産とされたグローバルなステーブルコインだった。

以前からその詳細が注目されていたが、ホワイトペーパーを含む仕様が6月18日に発表された。その要点をピックアップしてお届けする。

グローバルコインではなく名前(単位)はリブラ(Libra)

一部事前情報ではグローバルコインとしてプロジェクトが呼ばれていたが、実際の通貨名と単位はリブラ(Libra)となった。

フェイスブック独自のブロックチェーン

独自のリブラブロックチェーン(Libra Blockchain)を構築し、そこでリブラが発行される。当初ネットワークは許可型とし誰でも参加できない仕様となっている。リブラの普及が順調に進めば5年後までに無許可型(仕様要件さえ満たせば認可がなくてもバリデーターとして参加可能)のネットワーク構築を目指している。

リブラブロックチェーンの言語はMOVEでスマートコントラクト実装

独自のブロックチェーンであるリブラブロックチェーンでは、MOVEと名付けられた開発言語が用いられる予定だ。利用者はMOVE言語にてスマートコントラクトを実装できる仕様となっている。MOVE言語についてはある程度安定版が確立されれば、サードパーティー用に案内するとしている。

コンセンサスアルゴリズム

リブラの合意形成ではByzantine Fault Torerant(ビザンチン・フォールト・トレランス/BFT)が採用され、ネットワークの3分の1で不具合が発生した場合でも正常に機能すると発表している。またビットコインなど一般的なプルーフオブワークでの承認時間がないため、高速処理能力はもちろんのことエネルギー効率に置いても考慮されている。

リブラ協会(Libra Association)

通貨リブラはフェイスブックとは別に設置されたリブラ協会(Libra Association)によって運営が行われる。リブラ協会は独立・非営利・メンバー制の組織でスイスのジュネーブに本部を置く。

協会の初期メンバーにはマスターカードやPayPal、VISA、イーベイ、Uber、Spotify、コインベース、アンドリーセンホロウィッツなどが名を連ねており、今後も協会メンバーを募っていくとしている。

フェイスブックはリブラの普及・運用専門の子会社calibraを設立しており、このcalibra名義にてリブラ協会に参加している。フェイスブックはあくまで協会の1メンバーとして参加し、影響力は他のメンバーと同等であることを強調している。

さらにリブラ協会では今後のもうひとつの目標として、オープンIDの規格を制定し開発すること挙げている。これはフェイスブックのアカウントとはもちろん別のものだ。

裏付け資産は各国中央銀行が発行する法定通貨と複数の政府が発行する国債

安定したコインという意味ではステーブルコインに間違いはないが、その裏付け資産は単純に対USドルではない。リブラの裏付け資産となるのは複数の法定通貨、そして各国政府が発行する国債を裏付け資産としている。従って1リブラ(Libra)の価値は各国の法定通貨に対しで変動するが、その変動率は法定通貨の為替変動と同等程度になることが想定されている。

1リブラの価格は合計の裏付け資産を総発行数で割れば1リブラ(Libra)当たりの価格が明確に算出されるような仕組みとなっている。

一国の法定通貨どころか複数の法定通貨を裏付け資産として用い、ステーブルコイン以上の安定さを特徴として持つコインと言える。これは世界で使われることが想定されているため、USドルだけにペッグすると都合が悪かったグローバル企業であるフェイスブックならではだろう。

裏付け資産の運用は各国政府が発行する国債のみ

リブラ(Libra)発行に際しての裏付け資産は運用される予定だが、各国政府が発行した国債に限定して運用されることが明記されている。運用益を得ながら、運用対象を政府が発行する債券に限定することでリブラ発行の信頼性を確保している。

また、リブラの発行、そして法定通貨への変換が日々発生する予定だが、これは短期国債市場を使って法定通貨を確保すると明記している。

国債の運用益はリブラの維持、開発費に充てられる

莫大に資産が集まれば運用益が発生するが、その利益はリブラ(Libra)協会(Libra Association)の運用費やリブラの開発費に充てるとしている。リブラの利用者が、リブラ保有に伴って運用益が配当されることはない。

上場による値上がりは見込めない

ホワイトペーパーでは価値が変動せず、ユーザーが価格を想像し決済しやすくすることが第一の発行目的として掲げられている。

上記のとおり国債の運用益は個人ユーザーには還元されず、リブラ協会の運用費となることが明記されていることから、1リブラ(Libra)の価格には国債運用益も考慮されず、長期的に見ても裏付け資産価値を超えて取引されることはないことが予想される。

資産管理(カストディ)方法

法定通貨や債券は地理的に分散した信頼性のある金融機関(カストディアン)のネットワークによって保有される。

リブラ開発スケジュール

技術的なところでは、今後数か月の間にプロトタイプのテストを受けリリース可能な状態に仕上げるとしている。また利用者が使いやすいように文書化したAPIとライブラリを構築、Move言語の開発完了後は開発会社がスマートコントラクトを作成しやすいように案内していく予定となっている。

資産の保管については、地理的に分散した管理者からなるグローバル管理機関を設立し、保管期間が販売者と取引しながら透明性と監査できる運用手順を確立していくとしている。

リブラ協会については今後100メンバーを目標に拡大を進めるとした。

※今後も詳細が分かり次第追記予定。
 2019年6月19日追記

参考:https://libra.org

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