仮想通貨交換業者サバイバル

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仮想通貨交換業者サバイバル

日本国内の仮想通貨交換業者はこれまで登録業者16社、みなし業者16社の合計32社が存在していましたが、今年1月に発生したコインチェックの仮想通貨流出事件以降、金融庁の厳しい目が光り出し、気がつけば仮想通貨交換業界に大きな変動の波が押し寄せていました。

金融庁から出された行政処分とあわせてこの半年間の仮想通貨交換業者の変遷を見てみましょう。

業務改善命令の嵐と相次ぐみなし業者の撤退

【2018年1月】
 ・業務改善命令 ⇒ みなし業者1社

【2018年2月】
 ・金融庁の立入検査スタート

【2018年3月】
 ・業務改善命令 ⇒ みなし業者3社、登録業者2社
 ・業務改善命令+業務停止命令 ⇒ みなし業者2社
 ・登録申請取り下げ ⇒ みなし業者5社

3月に入り、事件を起こしたコインチェック以外にもついに業務改善命令が出されました。その対象は「GMOコイン」と「テックビューロ」という登録業者2社も含まれていました。

こうした事態を受け、登録要件を満たすのは困難との判断から申請を取り下げる業者が続出。みなし業者5社が仮想通貨交換業から撤退しました。これによってみなし業者の数は16社から11社に。

【2018年4月】
 ・業務改善命令 ⇒ みなし業者2社
 ・業務改善命令+業務停止命令 ⇒ みなし業者4社
 ・登録申請取り下げ ⇒ みなし業者3社

新たにみなし業者3社が登録申請を取り下げ、みなし業者の数は11社から8社に。この時点でみなし業者の半分が姿を消しました。

【2018年5月】
5月は金融庁からの行政処分もなく、みなし業者からの登録申請取り下げもなく、わずかな落ち着きを見せました。

【2018年6月】
 ・業務改善命令 ⇒ 登録業者6社
 ・登録拒否処分 ⇒ みなし業者1社
 ・登録申請取り下げ ⇒ みなし業者5社

6月に入ると、再三注意を受けてきたみなし業者「FSHO」に登録拒否処分が下されます。さらに再びみなし業者からの登録申請取り下げが相次ぎ、「FSHO」を含むみなし業者5社が仮想通貨交換業者から撤退していきました。

そしてついに業務改善命令の矛先は登録業者へと向かいます。なんと業界最大手の「bitFlyer」を含む登録業者6社に業務改善命令が出されるという驚きの展開を見せました。
(詳細はコラム「行政処分6社、マネーローンダリング対策に加え別の問題も」を参照ください。)

仮想通貨交換業者の現況

というわけで2018年7月時点での仮想通貨交換業者は登録業者16社、みなし業者3社の計19社となっています。

■登録業者(16社) *2018.7.2時点

業者名 取引所名 行政処分
1 マネーパートナーズ マネーパートナーズ なし *2018.7.2時点では未稼働
2 QUOINE QUOINEX 業務改善命令(6/22)
3 bitFlyer bitFlyer 業務改善命令(6/22)
4 ビットバンク ビットバンク 業務改善命令(6/22)
5 SBIバーチャルカレンシーズ VCTRADE なし
6 GMOコイン GMOコイン 業務改善命令(3/8)
7 ビットトレード BitTrade なし
8 BTCボックス BTCBOX 業務改善命令(6/22)
9 ビットポイントジャパン BITPOINT 業務改善命令(6/22)
10 DMM bitcoin DMM bitcoin なし
11 ビットアルゴ取引所東京 ARG なし *2018.7.2時点では未稼働
12 Bitgate Bitgate なし
13 BITOCEAN BITOCEAN なし *2018.7.2時点では未稼働
14 フィスコ仮想通貨取引所 フィスコ仮想通貨取引所 なし
15 テックビューロ Zaif 業務改善命令(3/8,6/22)
16 Xtheta Xtheta なし *2018.7.2時点では未稼働

登録業者16社中7社に業務改善命令が発令されており、今後さらに増えていく可能性もあります。また業務改善命令が出ている業者に関しては、今後改善が見込めない場合、登録取り消しとなる可能性も否定できません。

■みなし業者(3社) *2018.7.2時点

業者名 取引所名 行政処分
1 コインチェック Coincheck 業務改善命令(1/29,3/8)
2 みんなのビットコイン みんなのビットコイン 業務改善命令(4/25)
3 LastRoots c0ban 業務改善命令(4/6)

当初16社存在していたみなし業者はわずか3社にまで激減してしまいました。しかもこの3社も既に業務改善命令が出されています。すなわち、まともに運営しているみなし業者はゼロという状況です。

仮想通貨交換業者の行方は?

金融庁のふるいに掛けられる仮想通貨交換業者。もはや登録業者と言えど安泰とは言えない状況にあります。リスク管理、マネーロンダリング・テロ資金対策、内部管理態勢の確立など金融庁が求める必須要件をきちんと満たし、投資家が安心して利用できる環境を整えられる仮想通貨交換業者だけが生き残っていくことでしょう。