イーサリアム次期アップデート「イスタンブール」|主要仮想通貨のアルゴリズム変更は実現するか

ビットコインに次いで重要な地位を占める時価総額第2位の仮想通貨イーサリアムは、2019年10月に新たなアップデート「イスタンブール」を予定しています。

前回のアップデート「コンスタンティノープル」が2度に渡る延期をしており、2019年2月にやっとアップデートが成功しました。この延期の影響で全体のロードマップにも遅れが発生しています。さらに次回のアップデート「イスタンブール」ではブロックチェーンの大黒柱ともいえる承認アルゴリズムの変更が含まれており、影響も大きいことが予想されています。

それでは「イスタンブール」アップデートのスケジュールと詳細内容について解説していきます。

2019年の「イスタンブール」スケジュール

 5月17日 「イスタンブール」に含める提案の締め切り
 7月19日 主要なクライアント実装の最終期限
 8月14日 Ropsten、Gorliなどのテストネットのアップデート
 10月16日 メインネットへ「イスタンブール」アップデート

現在予定されているアップデート内容

 EIP 615
 EVMのパフォーマンスを上げるため動的ジャンプをなくしサブルーチンを採用
 EIP 665
 電子署名アルゴリズムEd25519用のプリコンパイルを追加
 EIP 1057
 Ethashに代わる新しいプルーフオブワーク(ProgPow)アルゴリズムの採用
 EIP 1679
 「イスタンブール」で行われるアップデートに関してのメタ情報
 EIP 1829
 楕円曲線を使用できるようにするプリコンパイル追加

※EIP(Ethereum Improvement Protocols)とは、イーサリアムの改善項目のことです。各改善項目は番号で管理されています。

注目は新しいプルーフオブワークProgPow(Programatic Proof of Work)

仮想通貨の承認アルゴリズムであるプルーオブワークに欠かせないマイニング作業。ブロックチェーンを維持するためにはなくてはならない手順ですが、これには大きな問題が横たわっています。

ノードと呼ばれるコンピューターが承認作業をすることで報酬がもらえるため、仮想通貨マイニングを事業として捉え大規模設備でのマイニングが世界各国で行われています。

ただ仮想通貨プロジェクトの開発者にとっては頭の痛い問題です。この大規模マイニング事業が進行すれば、一般的なマイナーはネットワークから撤退を余儀なくされ、少数企業によりマイニングが独占されてしまいます。また半分以上のノードを寡占されてしまう51%攻撃のリスクが大きくなってしまいます。

こういった問題に対応するのがProgPow(Programatic Proof of Work)と呼ばれている承認アルゴリズムです。このアルゴリズムは主要団体がマイニングに使うASIC(特定用途向け集積回路)に対して耐性を持っています。実際にはASIC機器で完全にマイニングが行えなくなるわけではなく、ASIC機器にてマイニングを行った場合の効率を悪く設定し、一般的なGPUでマイニングを行った場合の報酬に近づけようとする仕組みです。

このProgPowの採用により、ASICマイニングによる寡占が緩和され、一般的なコンピューターのノードも撤退することなく維持される効果が期待されています。

ProgPowの採用は大多数が賛成

将来、「セレニティ」アップデートにてプルーフオブワークからプルーフオブステークへの変更を予定しているイーサリアムが、一時的にProgPowを採用することには様々な議論が交わされていました。

ただ採用の是非を問う投票では、大多数が賛成票を投じる結果となっています。

 

承認アルゴリズムの変更には監査役まで登場

仮想通貨の主要通貨であるイーサリアムが承認アルゴリズムを変更するのはかなり大きな手術と言えます。アップデートの失敗が万が一起こってしまった場合、仮想通貨業界全体にとってもその影響は計り知れません。

そこで、イーサリアムの開発陣は今回のProgPowの採用に関して、第三者機関による監査を設けることを発表しています。

監査役は以前イーサリアムの監査経験もあるLeast Authority社が担当します。このLeast Authority社はZcashやTezosの監査を行ったことでも知られています。

  
Least Authority社による監査スケジュール
 3月25日~4月26日 コードレビュー完了
 5月1日 監査レポート初版の発表
 5月27日~30日 監査完了

大型アップデートはスケジュール通りに進むか

このProgPowの採用のあと、イーサリアムプロジェクトは遂にプルーフオブステークやシャーディングなどのスケーラビリティに対応したEthereum2.0構想であるセレニティへと向かいます。

イーサリアムが予定しているアップデート概要
 フロンティア(Frontier) 2015年実施済み
 ホームステッド(Homestead) 2016年実施済み
 メトロポリス(Metropolice) 
  ・ビザンチウム(Byzantium)」 2017年実施済み
  ・コンスタンティノープル(Constantinople) 2019年2月実施済み
 イスタンブール ←今ココ
 セレニティ(Serenity)今後

今回の承認アルゴリズムの変更は無事に終わるのでしょうか。そして今回のアップデートはスケジュール通りの進むのでしょうか。この辺りに注目しながらイーサリアムの開発を見守りましょう。

<参考>
投票|ProgPoW CarbonVote
投票|etherchain.org ProgPoW voting results
監査|ProgPoW Audit: Goals & Expectations

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