2018年8月現在、時価総額第5位につけているEOSについてわかりやすく説明します。時価総額は約7300億円で、プラットフォームとしてイーサリアムに迫る勢いです。
目次
設立
創設者は起業家のBrendan Blumer氏と仮想通貨界の巨人Daniel Larimer氏です。Daniel Larimer氏はこれまで2013年にBitshares、2016年にSTEEMを開発してきた経歴を持つ仮想通貨の重要人物です。
これまでブロックチェーン技術を使った取引所やSNSを開発してきた経緯もあり、世界中で使われることを想定したプラットフォームの開発に乗り出しEOSが設立されました。
ICO
EOSプロジェクトは2017年6月からICOが募集開始され2018年5月末まで丸々1年間資金を集め続けていました。通常、事業資金を集める場合短い期間で集めることが多く、この点でも異色のトークン販売でした。
結果集まった資金は約4400億円とICOの歴史の中で2番目に資金を集めたプロジェクト(1位はベネズエラ大統領が行ったPetro)となりました。世界中の投資家が信頼して投資した金額からも、プロジェクト自体の技術力や、推進力が桁違いにあったことを物語っています。
特徴1 トランザクション
例えば世界中で使われているクレジットカードのVISA、同じく世界中で使われている10億人以上のユーザーを抱えるFacebookは1日にどのくらいのトランザクションがあるのでしょうか。
EOSでは、これまでBitsharesや、STEEMといった開発に携わった経験から世界で使われる第一条件、それはトランザクションだと狙いを定め、処理件数に並々ならぬアイディアを注ぎ込んでいます。
分散型のアプリケーションを水平・垂直に拡張できるブロックチェーン設計を用い、実現できる処理件数は1秒間に数百万件としています。これは1時間や1日ではなく1秒間の処理件数です。
特徴2 取引手数料
先ほども触れましたが、EOSではこれまでの開発の経験から、世界中で使われることを前提にプロジェクトを進めています。現状のマイナーに支払う手数料があっては世界中で使われることはない、無料で使えることが普及には欠かせないとしています。
EOSプラットフォームを使ったDapps開発はさまざまな企業が参入することを想定しています。この中にはサービスで収益を上げ、Dappsは無料提供する戦略を立てる企業もいるでしょう。そういったことを想定しEOSプラットフォーム上では手数料無料を前提とした開発ができるよう設計されています。
特徴3 その他
その他の特徴として、アプリケーションが簡単にアップデートできたり、バグからの回復などもEOS特徴としてホワイトペーパーに書かれています。
それからもう一つ記述されているのは大量のデータを順番に処理することが重要で、それが特徴として書かれています。これは分散型取引所DEXなどのアプリケーションがプラットフォーム上に乗ることを視野に入れていると思われ、並列実行といっても順番に処理する能力がEOSにはあることが記されています。
イーサリアムを射程圏内か
現在プラットフォームとして首位に君臨するのはイーサリアムです。プラットフォームの後発としてプロジェクトを立ち上げるには、そのイーサリアムを確実に追い落とせる技術力に確信がなければ推進力もでません。現在の時価総額は上記の特徴を市場が評価した結果と言えます。
承認アルゴリズム
以前のBitshares開発の際に考案されたDPoSと呼ばれるアルゴリズムを今回のEOSでも採用しています。
このDPoSではEOSコインの保有者が投票を行い承認者を21人を選び、決められた順番でブロックを生成します。時間のかかる計算競争もないため短時間での承認が可能です。(EOS所持者に対し1対1の割合で無料配布されたeosDACトークンがこのブロックチェーン承認プロセスで使われる予定)
EOSの格付け
40年以上の歴史を持つ投資家向けの格付け機関Weiss Ratingが仮想通貨の格付けランキングを発表し始めていますが、EOSはその中で最高評価「B」を獲得しています(Aランクのコインはなし)。ちなみにEthereumは前回は「B」評価でしたが、5月発表時には「B-」に落ちました。
また、中国政府系研究機関CCIDが毎月発表している仮想通貨格付けランキングでは、2018年6月の第2回、7月の第3回連続で1位を獲得しました。ちなみにイーサリアムは2018年5月の第1回で1位を獲得しましたが、第2回と第3回は2位とEOSに1位の座を明け渡しています。この格付けでは評価基準が技術面であることからビットコインは毎回10位以下にランキングされています。
悪い点1 メインネット以降時の混乱
評価の高いEOSプロジェクトですがもちろん良いニュースばかりではありません。2018年6月から行われたメインネットへの移行はプロジェクトにとって大きな節目ですが、そこでいくつか問題が浮かび上がっています。
プラットフォームを構築を目指すEOSですが、当然ながら資金調達時にはEOSプラットフォームは計画段階でまだ出来上がっていません。したがって資金調達時にすでに利用できるEthereumのERC20トークンを使って資金調達を行いプロジェクト開発を1年間進めてきました。
そして予定通り2018年6月からEOSの本体とも言えるEOSメインネットがリリースされたのですが、直前に中国のセキュリティ会社から致命的なバグがあることが指摘され修正に追われました。
さらに小さいものも含めるとかなりの量のバグがあり、急遽行ったバグ発見賞金制度にて多額の報奨金が支払われたことがわかっています。莫大な金額を集めたわりにはメインネット移行時がお粗末だと一定の投資家の信頼を失いました。
悪い点2 EOSトークンの将来
例えばイーサリアムプラットフォームではETHトークンはプラットフォームを維持するため、送金手数料として循環したりスマートコントラクト使用料で使われるなどトークンとして重要な役割を担っています。その需要な役割が結果としてコイン価値を生んでいます。
一方、EOSでは先ほども触れたように世界中に普及させるため、プラットフォームの手数料は無料を前提としているため、現在発行されているEOSトークンは手数料などでプラットフォーム上使われる予定は一切ありません。このことはホワイトペーパーにも重要事項として掲載され、今後もトークンの価値については一切保証しないし、期待しないようにと釘を刺しています。
7000億円を超える時価総額は、プロジェクトの将来性への期待と「そうは言ってもトークン所持していれば何かしら権利が発生するだろう」との憶測のもと売買がされている不思議なコインなのです。数ある中でも価値が一番高く、そして使い道のない異色コインです。
取り扱い取引所
※日本の仮想通貨取引所での取り扱いはありません
Binance
Huobi
OKEx
Bitfinex
LBank
BigONE
HitBTC
Upbit
など
基本情報