3分で分かるビットコインキャッシュ、ABCとSVのハッシュ戦争
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いつもと違うハードフォーク
通常のハードフォークだと、それぞれのブロックチェーンに分裂して、新コインがもらえて終了しますが、今回は少し違います。
その引き金となったのが、Bitcoin ABCのアップデートに不満のある、Craig Wright氏率いるBitcoin SV(Satoshi’s Vision)が別のアップデートを提案したことです。
ABCとSVの違い
まずは、Bitcoin ABCとBitcoin SVの基本的な違い。
Bitcoin ABC | Bitcoin SV | |
主なサポーター | Jihan Wu(Bitmain CEO) Roger Ver |
Craig Wright |
---|---|---|
提案元 | Bitcoin ABC | nChain |
マイニングプール | ・BTC.com ・ViaBTC ・btc.top ・AntPool |
・CoinGeek ・SVPool ・BMG |
アップデート内容 | ・ブロックチェーン外からのメッセージを許可するOPコード(オラクルやクロスチェーンによるスマートコントラクトやアトミックスワップが使用可能)。 ・スケーリング改善基盤となる技術的な要素 ・技術的な修正と改良(トランザクションサイズを100バイトに制限など) アップデート内容詳細 |
・オリジナルのOPコードを復活させる。 ・201のOPコードを削除する。 ・ブロックサイズを32MBから128MBにする。 アップデート内容詳細 |
ハッシュ戦争の所以
今回のハードフォークは「ハッシュ戦争(Hash War)」とも呼ばれています。
これは、上記の意見の食い違いをハッシュパワーで解決しようとしているからです。ハードフォーク後に、各プロトコルでより長いブロックチェーンを作った方が、ビットコインキャッシュのメインチェーンを勝ち取るとしており、負けた方は、消滅するという表現が使われているからです。
※最新ハッシュレート:CoinDance。
ハッシュ戦争の原因
そもそもハードフォークの原因となった意見の食い違いとはなんなのでしょうか?
SNSなどの情報を総合してみると、Craig Wright氏は、ビットコインキャッシュをシンプルで、安定した、セキュリティの高いものにしたかったようです。
- ビットコインキャッシュのブロックサイズを大きくしてビジネスで利用できる通貨にしたい。
- 半年毎のアップデートはやめたい(通貨が安定しない原因となっているから)。
- ビットコインキャッシュを、ビットコインらしく(余計な機能はつけず、原点のビットコインに戻る)。
一方、Bitcoin ABC側は、OP_CHECKDATASIG(DSV)という新しいOPコードによって、アトミックスワップを可能にしたり、ビットコインキャッシュ版スマートコントラクトのWormhole(ワームホール)というトークン発行できるプロトコルを発表したり、機能拡張に力をいれています。
Craig Wright氏からすれば、シンプルで安定したものを作りたいのに、余計な機能を付けて複雑にし、それを半年毎(頻繁)にアップデートするなど、言語道断だったのかもしれません。
きれいなハードフォークではない
そして、今回のハードフォークの弱点ともいえるのが、どちらのチェーンもリプレイプロテクション(リプレイアタックを防ぐ仕組み)を付けていないということ。
これが意味するのは、2つのブロックチェーンに分岐した後に、それぞれのチェーンを区別する方法がないということです。一方のブロックチェーンで送金を行うと、もう片方のブロックチェーンでも送金が行われてしまい、資産保全ができなくなります。各取引所が、ハードフォーク時の入出金を停止して、再開日時を掲載していないのは、この2つのチェーンを区別する方法がまだ実装できていないためです。
新コインをもらえる、いつものハードフォークでないのはこうした理由からです。
すでに、各取引所は、ビットコインキャッシュの入金停止を開始しています。多くのユーザーのサポートを受け、生き延びることができるのはどちらのビットコインキャッシュなのか。ハードフォークは、16日未明(1時40分頃)に行われる予定です。