2018年カストディ業務の重要性

2018年、仮想通貨業界を占う上で重要な位置を占めるカストディ業務。今日までの主な内容をまとめました。

カストディ業務:
カストディとは「保管」を意味し、資産となる仮想通貨自体を預かり、保管や管理を行う業務のこと。第一目的はセキュリティだが、今後の業務は安全な保管に加えコイン配当など様々な管理業も必要になる。

ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨という特性上、これまでどうしても仮想通貨取引所にいくつもの機能が集約しがちですが、今後の発展にはカストディ業務の重要性が叫ばれています。

先日議事録が発表された金融庁の第四回研究会でも、米国マサチューセッツ工科大学MITメディアラボから今後仮想通貨市場の発展にはカストディ業務への注力が必要ではないかとの提言がありました。

マサチューセッツ工科大学メディアラボ:
世界で最も優秀な仮想通貨学者や研究者がメンバーとして参加し世界各国から様々な意見も求められる研究機関。メンバーは仮想通貨を保有せず中立的な立場をモットーにしている。

では、その今後仮想通貨の発展のカギを握るカストディ業務とはなんでしょうか。歴史の長い株式市場の成り立ちに照らし合わせてみます。

株式市場におけるカストディ業務

株式市場で投資家が投資を行う場合、まず証券会社に口座を作って入金します。

証券会社では様々なサービスがあり現金入金から株式証券の保管のほか、配当の管理、投資のアドバイス、その他にも様々なサービスが提供されています。そして実際に株式証券が取引される場所はご存知、関東で言えば東京証券取引所です。この取引所は投資家からの資金は一切受け付けや管理は行わず、各証券会社から出された買い注文、売り注文をマッチングする市場専用の機関となっています。

現状の仮想通貨業界はどうでしょうか。個人からの資金受付、取引マッチングサービス、資産管理、親切にもエアドロップやハードフォークにも対応してくれている取引所もあり、すべての金融機能が一つの会社に集約しすぎている部分があるのです。

そしてこれも仕方ない事ですが仮想通貨取引業を経営するとなると、どうしても収益性があるコイン販売機能やスプレッドが取れる取引機能に経営資材が集中しがちです。その結果過去のハッキング事件をみてもわかる通り、カストディ業務、資産管理のずさんさからくる流出、そして仮想通貨業界全体の混乱へとつながっており今後発展のためにはカストディ業務の強化が必須項目だと叫ばれているのです。

それでは実際にカストディ業務においてどのような動きがあるのか見てみましょう。

コインベースのカストディサービス

米国にあり仮想通貨界でも影響力の大きい取引所コインベース。ニューヨーク証券取引所を配下に持つインターコンチネンタルエクスチェンジ社や、日本ではMUFJ三菱UFJフィナンシャル・グループも出資していることからもわかるように仮想通貨取引所の中でも信頼性がダントツです。

取り扱いコインについては日本同様でマイナーなコインには上場ハードルが高く、現在厳選された5種類の取引サービスを提供しています。

そのコインベースがカストディサービスを予定しています。取り扱い通貨は39種(取引可能な5種は実質カストディサービスも提供中)の予定。厳選された5種しか取引サービスを行っていない信頼性を特徴にした取引所にしてはかなりの数の保管・管理種類です。しかもその管理業務は機関投資家をターゲットにしています。現在、5種以外の通貨についてはサービス開始に向け準備中。


(コインベース公式ブログより 8月3日発表)

(注意:カストディ予定リストと取引できる上場リストは全く別です。あくまで5種以外は保管・管理業務のみ)
 

その他のカストディ業務の動き

野村ホールディングス株式会社
ハードウォレットで有名なレッジャー社と投資顧問会社グローバル・アドバイザーズ ・ホールディングス・リミテッドと共同でカストディ・サービスに向けた研究を開始。(2018年5月発表)
https://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/holdings/20180515/20180515.pdf

Fusang Investment Office
アジアの機関投資家向けにアセットマネージサービスを展開しているFusang Investment Officeが香港でカストディサービスFusang Vaultを今年秋ごろに立ち上げる予定。

Boerse Stuttgart
ドイツの証券取引所大手のBoerse Stuttgartは仮想通貨取引を可能にするアプリを今秋発売予定、さらにICOプラットフォーム、取引所、カストディサービスを展開予定と発表。

その他、カストディ業務を検討していると報道されている金融機関
 ゴールドマン・サックス
 バンク・オブ・ニューヨーク・メロン
 JPモルガン・チェース
 ノーザン・トラスト

ただすべての解決策がカストディ業務にあるわけではなく、金融庁の研究会でも、仮想通貨の現状を考えたうえでカストディ業務を今の取引所から分けることが問題解決につながるのか疑問を呈する意見もありました。

今後ハッキングなどの混乱が起こらないことが仮想通貨業界の発展には欠かせません。このカストディ業務が日本でも浸透するのでしょうか。

模索期間はまだまだ続きます。今後の展開を占う面で取引機能とカストディ機能に注目して日本の仮想通貨業界の発展を見守る必要がありそうです。

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