仮想通貨ローンプラットフォーム「NEXO」とローン市場の今後

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TokenInsightが、仮想通貨ローン(暗号資産ローン)についての調査報告書を公表している。

それによると、2018年第4四半期以降、ローン市場への資金流入やアクティブなローンは増加し、2019年第1四半期もその流れが続いているという。

仮想通貨ローンというと複雑なイメージをもってしまうが、仮想通貨ローンの例として、現在急成長している仮想通貨ローンプラットフォーム「Nexo」を紹介するので、仮想通貨ローンとはどういうものなのかを理解する手掛かりとしてほしい。

仮想通貨ローン「Nexo」

Nexoは、仮想通貨(暗号資産)を担保に、45種類以上の法定通貨で融資してもらうことができる新しい仮想通貨ローンサービスで、12か月で、すでに5億ドル(537億円)以上を200以上の地域で処理し、20万以上のユーザーが利用している。

運営しているのは、2007年に設立されたヨーロッパの大手フィンテックグループ「Credissimo」。ヨーロッパにおけるオンライン消費者融資部門のマーケットリーダーで、e-コマースへの融資や支払請求サービスなどを独自の技術を使用して提供している。

Nexoの特徴

仮想通貨ローンタイプで人気があるのは、仮想通貨と法定通貨の貸し借りで、仮想通貨同士を貸し借りするタイプもあるが、貸手の減少とともに借手も減り人気がなくなっているとTokenInsightが報告している。

Nexoは前者のタイプで、サービスの特徴は、仮想通貨を売却せずに法定通貨を融資してもらうことができるという点だ。

仮想通貨は売却してしまうと、キャピタルゲインをあきらめなくてはならなくなり、新たに購入する際に価格が上昇していれば購入をあきらめてしまうかもしれない。また、仮想通貨を売却した場合には税金もかかってくる。

例えば、どこかに旅行へ行きたいと思った場合、手元に現金を作る方法に仮想通貨の売却という選択肢があるが、これは上記のようなデメリットを伴う。

Nexoを利用すれば、自分の持っている仮想通貨を売却することなく、オーナーシップはそのままで法定通貨を手に入れることが可能となる。つまり、仮想通貨が値上がりした場合、はやくローンを返済すれば、通貨はまた自分のものとなり、値上がり分の利益を得ることができるというわけだ。

Nexoのローンの仕組み

ローンのマッチング方法には、貸手が資金を集めた後で貸し出しするか、P2Pで貸手を探すかの2つの方法があるが、Nexoは前者となる。

そして、Nexoでローンを借りる場合、カードローンのように担保不要というわけではなく、仮想通貨での担保が必要となる。

自分の持っている仮想通貨を担保としてNexoウォレットに入金すれば、信用調査、申込書記入、承認待ちなどの面倒な手続きなしに、すぐに法定通貨を手にすることができる。

出典:nexoホワイトペーパー

現在担保として利用できる仮想通貨は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ネクソ(NEXO)、リップル(XRP)、バイナンスコイン(BNB)、ライトコイン(LTC)の6種類で、最低融資金額は500ドル(54,000円程度)となっており、その金額に応じたビットコインなどの仮想通貨が手元に必要となる。

融資してもらえる金額は、担保に入れた仮想通貨の50%程度になる。金利は利用した分に対して発生し、NEXOトークンで返済する場合は年間8%だが、NEXOトークン以外の場合は倍の16%となる。また、30日以内の返済は、固定で30日分の利息がとられてしまうため、通常とは逆で早期返済は不利となっている。現時点では一括返済のみで、分割返済サービスの提供は2019年第2四半期を予定している。

Nexoの優待サービス

Nexoには、ステーブルコインをNexoウォレットに預けることで、年間最大6.5%の利回りで資産を運用できる「Earn Interest」というサービスがある。1日目から利息を受け取ることができ、最低投資金額や手数料などはない。また、いつでも資金を追加、取り出すことができる。

また、NEXOトークンを保有している場合は、Nexoが得た純利益の30%を基本配当とロイヤル配当で受けとることができる。基本配当は、トークンの保有率に応じて支払われ、ロイヤリティ配当は、Nexoウォレットに保有していた期間に応じて支払われる。配当を受け取る条件として「配当金支払日の10日前にNexoウォレットにトークンを保持していること」と「NexoのKYCを完了させること」が条件となっている。

出典:nexo medium

ローンの顧客

仮想通貨投資家、マイナー、ヘッジファンド、仮想通貨取引所、ICOや仮想通貨企業、ゲーマーやVRユーザーが顧客となる。気になるのはゲーマーやVRユーザーで、なぜ、彼らが顧客になるのかというと、彼らは高額なゲームアイテムやVRアイテムをトレードしており、アイテムを売って将来使用する機会を失う代わりに、Nexoウォレットに預けて短期の資金調達に利用している。

担保資産のセキュリティ

ユーザーから預かっている担保資産は高額となるため、顧客資金のセキュリティは重要な課題となる。Nexoでは、世界大手のビットコインウォレット企業BitGoと提携し、最大1億ドル(約107億円)まで保護と保証をしている。BitGoは、Ripple、CME Group、SBIホールディングスといった大手企業にもサービスを提供しており、セキュリティ侵害に対する保護の観点で申し分のないパートナーと言える。

また、今年に入ってマネロン・テロ対策の規制を強める動きがある。Nexoでは、Google、coinbase、TransferWiseなど世界中にクライアントを持っているの本人確認を専門とする企業Onfidoと提携して、KYCやAnti-Money Laundering(AML)基準への準拠を追求している。

Nexoの成長率

Nexoは、開始から7か月で、17万人が利用し313,896,663.14ドル(約3,200億円)の取引があり、利益は3,040,239ドル(約3億2,800万円)と公表している。配当利回りは4.80%で、配当金の総額は912,071ドル(約9,800万円)となる。そして、第3四半期から第4四半期までの2018年のユーザーベースの成長率は700%とあり、開始1年を絶たずに成功を収めている。

出典:nexo medium

仮想通貨ローンの今後

仮想通貨ローンについて、TokenInsightは、一般的にこの業界は横ばい状態にあり、流通市場における暗号資産の取引量と比較した場合、貸付量は非常に少なく、製品およびサービスにはまだ改善の余地があると述べている。

また、Genesis Capitalのアナリストも、2019年第1四半期に1億5千万ドル(約161億円)の融資額を達成したが、実際には数百人の顧客しかいないと語り、市場が小さく成長段階にあるとの見解を示している。

しかし、市場が小さければ競合する企業も少なく、Nexoのように大きく成長できる可能性を秘めている。今後、カストディなどの資産を安全に運用できるサービスが提供されるにつれ、機関投資家が暗号資産市場に参入してくれば、仮想通貨ローン市場も大きく成長する可能性があると考えられ、ローン業界には期待している。

参考:TokenInsightNexo

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