テックビューロ株式会社はICO総合プラットフォーム「COMSA」のソフトウェア開発事業であるCOMSA HUBのテストネットを23日に公開した。関連ソフトウェアであるCOMSA COREが昨年12月に公開されており、今回のCOMSA HUBのテストネット公開はスケジュール通りのリリースとなる。
COMSA HUBとは
COMSA HUBとは、プライベートブロックチェーンと既存のブロックチェーンをつなぐためのソフトウェアだ。例えば、既存のイーサリアムのトークンを、企業が独自に立ち上げたブロックチェーン上で利用することが可能になる。
将来、資金調達するかどうかは別にして、独自のトークン発行を行ってサービス強化する企業も増えてくることが予想されている。そういった利用ケースで既存のビットコインやイーサリアムがスムーズに交換できることはメリットも多い。
既存のブロックチェーンと独自のブロックチェーンをつなぐ仕組み
企業が独自で立ち上げたブロックチェーンのネットワークは、既存のブロックチェーンとは当然つながりがなく、トークンを相互にやりとりすることは不可能だ。しかしこのCOMSA HUBでは、既存の(例えばイーサリアムの)アドレスの入金を監視し、送金されたイーサリアムトークンをロックし、その後プライベートブロックチェーン上に同数のトークンを発行する。こうすることで、あたかもイーサリアム上のトークンがプライベートブロックチェーン上に移動したかのように使える仕組みになっている。
またプライベートブロックチェーン上から既存のブロックチェーンへの送金では、プライベートブロックチェーン上で行われる送金アドレスを監視しており、送金されたプライベートブロックチェーン上のトークンを削除(バーン)し、既存のブロックチェーン(たとえばイーサリアム)上であらかじめロックされていたトークンをロック解除し、該当アドレスに送金する。
ユーザーはプライベートブロックチェーン上でイーサリアム上のアドレスを入力するだけで、既存のトークンをプライベートブロックチェーン上から送金することが出来る。
テックビューロとは
仮想通貨取引所Zaifの創業に加え、独自ブロックチェーン製品「mijin」、総合ソリューション「COMSA」を開発している。「COMSA」開発にあたっては2017年にICOを実施し90億円を超える資金調達を行ったことでも話題になった。また取引所Zaifは2018年に発生したハッキングがきっかけでフィスコに譲渡している。
プライベートブロックチェーン製品「mijin」とは
NEMベースで開発された独自のブロックチェーンを構築するためのソリューション。すでに300社以上の導入実績がある。NEMの次期アップデート「カタパルト」は、テックビューロとの提携によりmijinに搭載された機能の逆輸入が行われる。
総合プラットフォームCOMSA COREとは
既存のブロックチェーン同士のつなぐソフトウェア
総合プラットフォームCOMSA HUBとは
独自のブロックチェーンと既存のブロックチェーンをつなぐソフトウェア
企業向け総合ブロックチェーンソリューション
テックビューロから発表されているプレスリリースの中で、COMSAを活用する利用シーンとして、証券として活用するため投票機能なども想定されているが、その他にもゲーム分野や少額決済シーンも紹介されている。
たとえばゲーム分野ではイーサリアム上で価値を持ったゲームアイテムを独自ブロックチェーン内に持ち込めるようになる。また決済シーンではビットコイン受付店舗にて、あらゆる通貨を使えるようになるなど幅広いCOMSAの利用シーンが想定されている。
資金調達を行うICOプラットフォームとしてももちろん利用可能だが、独自のブロックチェーン構築やブロックチェーン同士のつなぎこみなどを考慮すると、企業向けのブロックチェーン総合プラットフォームという呼び方の方がしっくりくる開発内容だ。
2020年に存在感増すか
COMSA CORE、COMSA HUB共に昨年発表された通りに開発が進んでおり、正式発売はCOMSA COREは2019年の夏、COMSA HUBに関しては2019年の冬としている。ICOについての法整備も来年には正式に整うことが予想されており、様々なピースが整った2020年には国内でさらに存在感を増すのではないだろうか。