ブロックチェーン先進国リトアニアの中央銀行が法定通貨のデジタル化について言及

ブロックチェーン先進国であるリトアニアの中央銀行の会長であるビタス・バシリャウスカス(Vitas Vasiliauskas)氏が、中央銀行が発行するデジタル法定通貨に関する意見を27日に発表した。

各国の中央銀行が参加する国際決済銀行(BIS)が主催した12日のカンファレンス内でスピーチしたもので、中央銀行がデジタル通貨を発行した場合のメリットや懸念点などを語っている。

リトアニア共和国
ユーロ圏に位置するリトアニアは、ブロックチェーン関連企業の誘致や、技術導入を積極的に進めているブロックチェーン先進国。各国の中央銀行が参加している国際決済銀行(BIS)に置いても、中央銀行のデジタル通貨発行の分野では、ブロックチェーン技術に以前から取り組んでいるリトアニアに意見が求められた。

ビタス・バシリャウスカス氏が発言した内容の要点を紹介する。

現状について

■リトアニアはフィンテックの先駆者だったため依頼があったが、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC/Central bank digital currencies ※以下CBDC)についての招待を受けたときはかなり驚いた。

■金融イノベーションに積極的なリトアニアだが、少なくとも現時点で進行しているCBDCプロジェクトはない。

発行方法、役割について

■現在、中央銀行は2種類のお金を発行しており、一つは銀行券、もう一つはすでにデジタル化されている金融機関向けの当座預金。CBDCはこれまでの当座預金とは区別されるべきで、現在の通貨のように交換手段、支払い手段、および価値の保存手段として機能しなければならない。

■CBDCの発行方法は3パターンで一般販売か、それとも金融機関だけに供給するか、あるいはその両方か。金融機関に供給する場合、これまでのデジタル管理口座とは意味がまったく異なってくる。

中央銀行がデジタル通貨を発行するメリットについて

■各国の当座預金システムはかなり古いものも多く、CBDCを金融機関向けの当座預金として使う場合は効率良く構築でき、また現状のセキュリティへの不安を払拭してくれるメリットがある。

■銀行券としてCBDCを使う場合、CBDCに付利し預金金利と貸付金利をコントロールすることで金融政策の伝達を改善する可能性がある。

■民間銀行は債務不履行リスクがあるが、中央銀行はないため金融の安定性に良い影響を与える可能性がある。銀行口座から中央銀行へ預金が移動し、通貨システムの信頼性が増す可能性がある。

■ただ、CBDCを銀行券として発行する場合、口座を持つことが必須になる。なんらかの理由で銀行口座を持っていない国民のことを注意しなければならない。

中央銀行がデジタル通貨を発行するデメリットについて

■民間の銀行預金より中央銀行のCBDCの方が安全な保管方法となり、急激なスピードでデジタル化が進む可能性がある。そうなれば中央銀行の役割を大きく変化させなければならない。

■民間銀行の預金が少なくなるが、市場への準備金は一定に維持させなければならない。もし担保評価を拡大して準備金を流通させた場合、中央銀行の信用リスクが高まり金融市場をゆがめてしまう。

デジタル通貨についての一般的な欠点

■まだまだブロックチェーン基礎技術は不確実で未熟である。

■CBDCは匿名形式が前提だが、マネーロンダリングにはどのように対応するか未決定となっている。匿名機能とマネーロンダリング防止は矛盾があり、中央銀行にとっては大きな負担となるはずだ。

デジタル通貨発行に関する各国の状況

2017年から取り組んでいるスウェーデンのCBDC、いわゆるe-Kronaは実現に最も近い。スウェーデンは現金使用率が極端に低く、国の支払いシステムもキャッシュレスに対応しなければいけない自国の背景がある。

しかし興味深いことにデンマークなどの他の北欧諸国は逆でCBDCの計画はない。既存の問題を改善しないし、金融の安定性を欠くリスクがあるなどの理由を発表している。

その他ウルグアイの例など、ほんの数カ国の中央銀行で中期的な計画として進んでいる場合がある。

今後のリトアニアについて

私たちは金融イノベーションに前向きでブロックチェーンソリューションの技術的なサンドボックスも計画している。もちろんCBDCについて否定しないが、現在はまだ解決すべき問題が多いと認識している。

またリトアニアはユーロ圏であるため、もしCBDC計画を進めるならば欧州中央銀行(ECB)レベルで考えなければならず、ここについてはかなり遠い見通しだ。

中央銀行がデジタル通貨を発行する場合の問題点について

今回リトアニアの中央銀行から指摘された問題内容は、日本の中央銀行である日本銀行でも共通している。過去、日銀はデジタル通貨発行についてのレポートを発表しており、用途や発行方法、現在の金融構造への影響など、多くの問題点を指摘している。

日銀デジタル通貨発行に関するレポート公表(2019年2月20日)

参考:BIS/Vitas Vasiliauskas: Central bank digital currencies

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