インターネットを使わないブロックチェーン衛星技術BlockstreamサテライトでメッセージAPIが稼働

世界有数のブロックチェーン開発企業Blockstreamは、インターネットを一切経由しない衛星を使ったブロックチェーンネットワーク「Blockstreamサテライト」にて、メッセージファイルをやり取りできる機能が稼働したと公式発表を行った。

このサテライトAPIによりインターネットが普及していない世界の90%以上の地域でメッセージファイルを受信できるようになり、その送信手数料は高速化されたビットコインのライトニングネットワークが利用されている。このAPIは開発者が衛星経由のメッセージシステムを使ったアプリケーションを構築しやすいものとなっている。

メッセージの送信方法はBlockstreamサテライトのホームページ上でファイル(10KB以内)をアップロードし、手数料を選択することで送信される。送信手数料は1KBバイト当たり50satoshi(約0.2円)が標準価格となっており、優先順位を高くして送信したい場合に標準価格以上の手数料を設定することも可能になっている。

Blockstreamサテライトとは

Blockstreamサテライトとは地上から35,786 km上空を周回している通信衛星の回線を、Blockstream社が借り受けて提供しているサービスだ。ビットコイン送金を高速化する技術ライトニング・ネットワークを利用し、送信データを最小限に限定し衛星を通じてブロックチェーンにブロードキャストしている。

2017年に発表されたこのシステムは、現在では衛星が5台も稼働しており、全世界の大部分をカバーしている。また独自の匿名技術も採用しており、Blockstreamサテライトで送金を行う場合はプライバシーに守られた送金が可能となっている。

公式ページより

 
衛星との通信を行うための通信設備だが、一般的に普及している衛星放送用のアンテナに加え、2000円程度のUSB機器、1500円程度の受信機、これらをPCに接続すれば利用可能と説明している。インターネット回線を自宅に引いて維持するためにはそれ相当の通信費用がかかるのが一般的だが、このBlockstreamサテライトの衛星利用料は無料となっている。

なぜ衛星なの?
日本などの先進国ではインターネット環境が比較的整っているが、世界でインターネットを利用できる人口は全76億人中約40億人と言われ、まだ4割以上の人口がインターネットを利用できる環境にない。世界のインターネット人口がやっと半数に達したのも昨年2018年だと言われている。

このBlockstream社が提供している衛星では、地球上の約90%以上の地域をカバーしており、インターネットにアクセスできていないおよそ30億人にもビットコインサービスを提供できるとしている。

また衛星施設が地上から離れた場所で周回していることから、大規模な自然災害時や国単位でインフラ機能に打撃を受けた場合でも安定してサービス提供できるメリットがある。

Blockstream社とは

Blockstream社はビットコインのコンセンサスアルゴリズムPoof of Workで採用されているHashcashを考案したアダム・バック氏が2014年に設立したブロックチェーン開発企業だ。ビットコインの生みの親サトシナカモトの論文でもアダム・バック氏のHashcashが記述されている。

このアダム・バック氏の影響から、Blockstream社にはビットコイン自体の開発を支えるチーム「BitcoinCore」の主要開発者も多く所属し、ブロックチェーンに関する様々な技術を研究・開発している。特にビットコインの送金時間を短縮するサイドチェーン技術、ライトニング・ネットワークの開発や、金融機関向けのブロックチェーンネットワークLiquidなどが有名だ。

インターネット普及を待たないで形成される経済圏

今後、徐々にインターネット普及率は高まっていくことが予想されるが、それでも人口が密集していない地域や、発展途上国でのインフラ整備には長い時間がかかることが予想される。

しかし、このBlockstreamサテライトは衛星を利用したことでこういった問題を一気に解決し、インターネット環境が普及していない30億人がまとめてビットコイン経済圏へ入ったことを意味している。今回のメッセージAPIなど開発状況も順調に進んでおり、その利用用途には大きな可能性を秘めていると思われる。

参考:Blockstream Satellite API メッセージ送信 https://blockstream.com/satellite-queue/

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