世界有数の取引所グループICEが手掛ける仮想通貨専門の取引所Bakkt(バックト)とは?

ニューヨーク証券取引所をはじめ世界中の様々な取引所を有する取引所グループ、インターコンチネンタルエクスチェンジ(Intercontinental Exchange – ICE)は仮想通貨を取り扱う新たな会社Bakktの設立を発表しました。

2018年11月1日から始動予定のこのBakktとはどのような特徴があるのかわかりやすく説明します。

インターコンチネンタルエクスチェンジとは

インターコンチネンタルエクスチェンジ(Intercontinental Exchange)略してICEと呼ばれるこの会社は米国アトランタに本社を置く世界有数の取引所運営グループです。

2000年に取引所を設立し取引所としては新興の部類に入りますが、電子取引という武器と敏腕CEO、Jeffrey Sprecherの手により、次々と世界の取引所や取引所グループを買収しました。現在は世界最大の取引量を誇るニューヨーク証券取引所も傘下におさめ、主要取引所を10か所以上も抱える世界第2位の取引所グループです。

 

世界の取引所の電子化を担ってきた

この20年で「主要な取引所の電子化を担ってきた」といっても過言ではないICE。世界の取引所の近代化への革命の中心にいた人物がICEのCEO、Jeffrey Sprecherです。これまでの軌跡を見ても仮想通貨の金融商品の取り扱いと仮想通貨取引所への進出計画はもう何年も準備してきた次の一手であることは容易に想像がつきます。

 

BakktはICEの重要プロジェクト

2018年11月に正式稼働予定のBakkt、CEOに就任するのはKelly Loefflerで彼女はSprecherの妻です。このことからもSprecher肝いりの計画であることがなんとなく伝わってきます。妻と言ってもKelly LoefflerはICEに2002年から参加した金融市場のプロで、ICE急成長への重要な役割を担ってきた人物です。

長年に渡り株式市場はもとより様々な金融市場で投資家ニーズに応え成長してきた経験があります。これまで仮想通貨界から産まれ大きな成功をつかんでいる仮想通貨取引所は複数ありますが、金融業界からしてみればまだまだ若く規模的にも小さいです。ICEの参入は米国の金融界の大御所が満を持して動き出したと言えるのではないでしょうか。

 

Bakktのサービス内容

今回のBakktは一番得意としている電子取引プラットフォーム、これを仮想通貨専用で立ち上げようとしています。

これまでもICEは様々な商品を先物取引として扱ってきました。売買市場を提供する取引所機能、先物取引決済後の清算サービス、そして扱っている商品の倉庫機能です。このノウハウをすべてデジタル資産に適応することで機関投資家が安心して投資できる環境を作ろうとしています。

仮想通貨取引所としての機能だけではなく、マイクロソフトやスターバックスと提携していることからも分かる通り小口取引にも意欲を見せ、Kelly Loefflerは小売り業界や一般消費者のデジタル資産利用までを構想に含んでいると発表しています。まさにプラットフォームと言えるサービス提供を目指しているのです。

・取引所機能あり
・倉庫(デジタル資産保管)機能あり
・清算/決済機能あり
・当局規制下にてサービス前提
・ICEのインフラ最大限活用
・小売り、小口決済、一般消費者利用想定(まだ内容は不明)

 

大きなポイントはCFTC/米商品先物取引委員の監督下

今年、BitcoinそしてEthereumは証券ではないとSEC/米証券取引委員会からの公式発表がありました。ということはBitcoin単体として考えると、それは証券ではないのでSEC/証券取引委員会の直接の担当範囲ではなく、CFTC/米商品先物取引委員が担当です。

昨年12月からCMEとCBOEで先物商品としてBitcoinが上場している通り、金や石油などの商品と並列で先物取引所にてBitcoinが扱われています。今回BakktではまずBitcoinを商品として先物取引として扱い、CFTC/米商品先物取引委員会の監督下の元、投資家に安心できるサービスを提供しようとしています。

この”規制当局監督の元、取引所や先物商品を扱う”ということがやはり重要になってきます。たとえば米国で有数の取引所Coinbaseやウィンクルボスが運営するGeminiなどは、仮想通貨界での影響は計り知れないものがありますが、やはり金融業界、とりわけ巨大マネーを運用する資産管理マネージャーからしてみれば資金を預けるにはまだ規制があったり、運営に不安要素があったりします。

現在でも仮想通貨業界において、全体の評価額のかなりの割合が機関投資家からの資金流入で成り立っていますが、それでも金融業界から考えるとほんの一部です。

ICE傘下にはニューヨーク証券取引所をはじめICE Futures U.S.、ニューヨークの先物取引所も運営しており、Bakkt運営陣もCFTC監督下の手順は得意分野でしょう。これら規制当局からの信頼も厚いBakkt陣営がコンプライアンスをクリアし仮想通貨取引所を開設すれば、その信頼性から大半の機関投資家が市場参加してくれるはずともくろんでいます。

 

先物上場が目的ではない

昨年12月にCME、CBOEにてすでにBitcoinが商品として先物取引上場を果たし順調にその取引量を増やしています。昨年末、これらに続いてICEが先物上場させることは簡単だったと思いますが、あえてそうしていません。

今回はBakktプラットフォームにてまずはBitcoinの先物取引を取り扱い、しかも保管業務やBitcoin受け渡しまで行おうとしています。(CME、CBOEのBitcoin先物は差金決済のため差額の現金決済のみが行われ、実際にBitcoinの保管、受け渡し業務は含まれていません)

先物上場を目的としていれば早々にできたはずです。2018年11月開始と約1年も温めてきた様々な理由がこのBakktにありそうです。

 

ポイントはマイクロソフトやスターバックス連携だけじゃない

現在Bakktを検索するとマイクロソフトやスターバックスと提携したことばかりが注目されています。もちろんプロジェクトにとっては重要だと思いますが、他にも重要なポイントがいくつもあります。

・世界の取引所の電子化に貢献した敏腕CEO、Sprecherが温めてきたプロジェクトであること
・ICEが得意とする電子取引プラットフォーム分野で仮想通貨専用
・これまでやってきたように取引、清算、保管業務が含まれる
・規制当局の承認を受けながら仮想通貨業務を行うこと
・小売り業界や一般消費者決済も構想にはいっていること(ここはあくまで構想)

 

今秋のプロジェクト始動に注目

以上、今回は仮想通貨業界に大きな影響を与える可能性がある金融界の重鎮によるプロジェクトを見てみました。ブロックチェーン技術を使ったプロジェクトではありませんが、仮想通貨発展には必要な重要テーマです。Bitcoin先物上場からすでに半年、これが進めば金融業界への仮想通貨浸透をさらに加速させるのではないかと期待させます。

それから一般消費者向けのサービスも具体的なものが分かり次第またお伝えしたいと思います。2018年11月始動の予定です。Bakktの動きに今後も注目してください。

 

<参考>
インターコンチネンタルエクスチェンジ公式ホームページ
https://www.theice.com/

Bakkt公式ホームページ
https://www.bakkt.com/

FORTUNE インタビュー
http://fortune.com/longform/nyse-owner-bitcoin-exchange-startup/

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